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呼び捨てがしたくて。
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いつものように此処にくる。
「こっ、孝介さん」
「…ん?」
「なんでもない」
「…そ。」
相変わらずこっちを見ない目、テンポの遅い返事。そりゃまあ仕事してんだから当たり前だけど、居るからには構ってほしい。
「おー、また来てんのか坊主」
「げっ…」
このおっさんの名前は知らないが、ここで働いている人なのは知ってる。
「よくもまあ毎日来るもんだなあ、飽きねえのか」
「うるせえよ…」
ほっといてくれ…つうか帰れ!
せっかく2人きりだったのに…
とは言っても、ここは交番なわけで、こんな風に邪魔されることもしばしば。
「なあ孝介?」
「まあ…そうですね。」
「なっ…!!!!!」
このじじい…!!孝介とか呼び捨てしやがったぞ!!!
「どうした坊主」
「なんでもねえよ…」
「おい晴臣…もうちょっと行儀良くしろ」
「はあ!?」
なんだよさっきまでオレが話しかけても適当な返事しかしなかったくせに!
「いんだいんだ、この坊主が喧嘩しなくなっただけで充分!はっはっは」
「そうですか…」
意味わかんねえ…おっさんが笑ってる意味も、オレが叱られる意味も。頭の悪いオレには理解不能。
「……帰る」
「は…?」
「はっはっ、さすがに飽きたか?」
「……」
「おいハルっ」
「っ…!」
だめだ、オレここに居たらもっと機嫌悪くなる。
そのまま黙ってその空間から逃げた。
早足で家路につく。
あの人は追って来ない。
当たり前、そんな人じゃないのは知ってる。こういう時でも自分の仕事を全うする人だ。
それに…オレの存在がそこまで大きくないことだって知ってる。
だからつらい。
追いかけるだけで、見向きもされない恋。
こんな風になるために、毎日毎日学校帰りに通っていたわけじゃないのに。
ガチャ
家の扉を開ける。
まだ兄貴は帰ってないらしい。
「はああぁぁぁぁ…」
ああ、なんか、疲れた、だるい。
リビングで大の字になる
明日からどうすりゃいいんだ…
好きなだけなのに……
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