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ろくでなし 2
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そして気がつけば店に通い始めて、半年。
顔なじみが増え、そこは俺にとって居心地のいい空間になっていた。
知ってる顔が増えれば、そうそう危険な目に合うこともない。
誰が危険人物か、教えてくれたりするからだ。
だからあの日もカウンターで気楽に酒を楽しみ、今日の相手を見繕っていた最中だった。
グラスの中が空になり、おかわりを頼んだのと同時にひとつぶん席を開けてスツールに誰かが座った。
少しだけ顔を横に向けて誰かを確認すると、そこには見知らぬ男。
新客かな?
グレーのスーツを見にまとい、ワイシャツのボタンは数個外され、染めた茶髪、いかにも遊んでますという雰囲気。
まるでホストのようなその男は、俺と目が合うとニコリと笑った。
……俺の好みじゃないな。
興味をなくした俺は、目の前に置かれた新しい酒を一口含む。
ここで飲み始めて二時間。
今日はいい出会いはなし、か。
これ飲んだら帰ろ。
そう思い、最後の一杯を楽しむと席を立つ。
会計を済ませ、地下にある店から地上に繋がる階段を上がっていると…後ろからグイッと腕を掴まれた。
その拍子に階段を踏み外しそうになり、慌てて踏ん張る。
誰だよっと後ろを振り返ると、そこにはさっきまで横に座っていたホストもどき。
軽薄そうな笑みを浮かべて、俺を見上げていた。
「もう帰っちゃうの?」
「……はぁ、まぁ」
ホストもどきはにこにこしながら、俺の腕を掴む手に力を込めてくる。
痛いんですけど。
「相手、探してたんでしょ? 俺と遊ばない?」
「……いえ、帰ります」
あんた好みじゃないし。
そう思いながらも声には出さず、手を払おうと力を込める…も。
「まーまー。つれないこと言わないでさ」
「は?ちょ、ちょっと…!」
逆にぐいっと引っ張られ、そのまま階段を上がっていく。
ちょ、なんだよ! はーなーせぇぇっ!
ホストもどきの力は強く、振り払おうにも振り払えない。
体は前に傾き、否が応でも足が前に出る。
「離せよっ!」
「はいはい、あとでね」
「おいっ」
なんなんだよ、コイツ!
必死に腕を振り、逆らう。
こんの馬鹿力!ちょ、誰かー!
と、心の中で叫んだのと同時に、後ろから声がかかった。
「おい、手ぇ離せ」
ふいに聞こえた声に、俺もホストもどきも振り返る。
俺のいる位置から八段ほど下、扉の前にたたずむひとりの男の人。
その人はひとつため息をつくと階段を上がってきて俺の隣に立ち、ホストもどきの肘あたりの場所を掴んだ。
「いっ…!痛たたたっ!」
急にしかめっ面をして痛いとわめきながら、ホストもどきは俺の腕を離す。
え?
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