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蓮視点
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「そうじゃなくて…もういいよ、夜明けまでまだ時間ある?」
「えっと…、2時間くらいは」
室内の時計を探して時間を告げると繋がりを解き、雅はシーツの中に潜り込んだ。
「明るくなる前に戻るから起こして」
「あ…うん」
「…………」
「…………」
「何してんの?蓮も横になれば」
「!……俺は…、シャワー浴び──」
「そんなの後でいいよ」
気まずい雰囲気から逃げ出そうとすれば一蹴されてしまい、諦めた俺は目を合わせないように背を向けてシーツにくるまった。
やっぱりするべきじゃなかったんだ。
無理矢理にでも断っていれば雅に嫌な思いをさせずに済んだのに。
そんな後悔の念に押し潰されそうになっていると背後でベッドが軋み、別の体温が背中を包んだ。
「背中向けないでよ……寂しい」
「っ!ごめん…!」
「ふふッ…、蓮、さっきから謝ってばっかり」
慌てて寝返ると雅は甘えるように腕を回して俺の胸に顔を埋めた。
もう怒ってはいないみたいだ。
その事に安心して俺も腕を回すと雅は頭を預けて肩の力を抜いた。
「…悔しかっただけ」
「え?」
「童貞にあそこまで感じさせられてイったのが悔しかったんだよ。だからと言ってそれを怒ってる訳でもないし、攻めてる訳でもない。だから後悔しないで」
「……、あんたはなんで俺なんかと…。後悔してないのか?」
「してない。欲を言えばもうちょっと蓮を苛めたかったかな…。でも蓮と繋がってる間は現実を忘れられた」
「現実…?」
「そう…。花魁としてじゃなく、一人の男として。お客じゃなく自分が望んだ相手とこうやって自由なセックスをできるのは最高に幸せじゃない?」
「……かもな」
ここにいる限り自由なんてものは存在しない。
だったら外には自由があるのか?
ずっと強いられる生活をしてきた俺達にとって【自由】というのは手が届かない縁遠いものだ。
雅がそれを少しでも味わえたんなら、俺達は関係を深めて良かったのかもしれない。
「でもさ、結構無茶してくれたね?」
「!だからごめんって…」
「ダメ。許さない。覚悟しときなよ、明日からは……蓮にも色々と手伝って貰うから」
「はぁ!?俺何にもできないし水揚げだって────」
「おやすみー」
「っ……おやすみ…」
顔を埋める雅はどんな表情で言ったのか分からない。
けど多分、彼は悪戯に笑ってたんだと思う。
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