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僕が食べ終わると、妖しいギャルソンの潤が、席を立って、皿を下げてくれた。
僕が、トースターでほのかに温まって、バターの香りが芳ばしくなった丸パンを、食べていると、潤がメインディッシュを持ってきた。
「鴨肉の赤ワイン煮でございます」
似非ギャルソンが言った。
「その緑の、フェンネルだよ、苦いよ、胃薬みたい」
と潤が言ったけど、僕は
「ウイキョウでしょ? 大丈夫」
と答えた。
「パンのおかわりは、いりますか?」
と潤が聞いた。
「はい」
と僕は答えた。
潤は、しばらくいなくなり、パンとグラスを持って戻ってきた。
「二本差しは無理、一本も入らないとおっしゃったので、ストローは、おつけしませんでしたが、よろしいですか?」
と潤が言った。
「ご配慮、ありがとうございます」
と僕は、笑って答えた。
「フローズンにしなかった。クラッシュアイスを入れただけ」
と言って、差し出したシャンパングラスの液体は、透明なクリスタルを透してルビー色に輝いていた。
細い脚のついた、丸い浅いグラスの縁には、スライスしたレモンが飾ってあった。
「甘ったるいから、レモン入れたら美味しいよ」
と潤が言った。
僕は、鴨肉とパンを平らげた後、潤といっしょに、チェリージュースを飲んだ。
「よかった、瑤と食事できて」
「ああ、いっしょに食べたかったのにって、残念がってたもんね」
「うん。かえって、俺が先に食べてたのが良かったかもしれない。瑤に給仕できたから」
潤が嬉しそうに笑顔を見せた。
「うん、僕も、潤に給仕してもらって、楽しかった。おもてなしありがとう」
僕も、嬉しかった。僕は、冷えた、さくらんぼジュースを口にして、
「これ、甘ったるくないよ? 酸味が効いてるし」
「そう? よかった」
二本ストローから唇を離した潤が微笑んだ。
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