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手をつなぐのは
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ああ、そうか。なんだ。潤が、僕によく手を差し出すのは、僕と手をつなぎたがるのは、おじ様とそうしていたからか、と僕は、軽い失望を覚えた。
僕が特別ってわけじゃなかったんだ。
潤が、僕に特別に心を許して甘えているんだと思っていたのに、単なる習慣だったのか、とがっかりした。
当たり前だよな。
僕は、自分を慰めるように思った。
誰だって、自分が保護者からされたようにしか、人を愛せない。
特に、潤は、もとの頭脳も賢くて、心も素直だから、より忠実に、習い覚えた行為を再現してしまうんだろう。
手をつなぐのは、違法でも非常識でもないのだから、よかったけれど、他のいろんな習慣の違いが、ストレスになっているだろうなと想像した。
それでも、まだ学生だから、少しくらい非常識なところがあっても、当たり前と許されるけれど、だんだん、年齢が上がるにつれて、ごまかしがきかなくなり、周囲の目も厳しくなり、どうにもならなくなっていくんだろうな、と推測された。
潤が、一生懸命、生きるために習い覚えたことが、全て、社会の非常識だということに気づいた時、いったい潤は、どうなるんだろうと危ぶんだ。
暑い五月の昼の、長閑な庭を、横切って、裸の三人は、テラスへ向かった。
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