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違和感と困惑 side.柊
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「おはようございます。柊さん。よろしくお願いしますね。」
そう告げてきたyu-ki*に違和感を覚え、俺は怪訝な表情を浮かべてしまう。
しかし、俺は役者だ。
すぐに表情を取り繕う。
俺がありきたりの言葉を返すとyu-ki* は憧れの念を抱いているような表情を浮かべた。
ここで、俺が抱いている違和感が明らかになった。
目が違う。
俺が知っていたyu-ki*はこんな純粋な目をしていない。
以前に感じていた、腹に一物も二物も抱えていそうな印象は受けなかった。
打ち合わせの最中も俺の違和感は続いた。
以前も演技に対しては真摯だった。
真摯ではあるけれどそつなく余裕にこなしているだけだという印象を受けた。
しかし、いまのyu-ki*は演技をするのが大好きで堪らないという熱意がとれて見えた。
―あれは、誰だ?
yu-ki*と同じ顔をした全くの別人か?
俺にそう思わせる程、yu-ki*に抱いていた印象が全然違うのだ。
打ち合わせ後にyu-ki*が俺のもとに駆け寄ってきた。
「柊さん。これから、良い作品作りましょうね。」
俺を見上げてくる目は憧憬と純粋さで溢れていた。
「そうですね。」
―お前は誰だ。
違和感から来る困惑に気づかれないように対外用の笑顔を浮かべて返事を返した。
俺の返事にyu-ki*は何の交じり気のない嬉しそうな笑みを浮かべる。
「…………っ!!」
「では、お先に失礼します。」
自宅マンションに戻っても最後のyu-ki*の笑顔が頭から抜けない。
俺の地位的に他人から向けられる表情のすべては何かしらの打算があった。
あんな何の打算もない純粋な表情は久しぶりだ。
そのせいかあの笑顔が頭から離れない。
いや、笑顔だけではない。
あの感じた違和感すべてが忘れられない――いや、違和感すべてに好意を持ってしまっている。
男しか好きになったことのない俺は誤魔化しようのない困惑を感じていた。
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