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恭一郎ではないけれど side.諒
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「平松さん。お願いがあるんですけど。」
撮影が終わって平松さんに声をかける。
「え?どうしたん?」
キョトンとした顔で平松さんが首をかしげる。
いきなり声をかけられたらそうなるだろう。
「平松さんのアトリエってオーダーアクセサリー作ってましたよね?」
「ええ。」
「オーダーしてもいいですか?こないだの小道具のネックレスとても綺麗で。」
俺の言葉に平松さんは一瞬驚いたように目を見張ってから嬉しそうに笑う。
「もちろん、いいわよ!資料があるから後で楽屋に持っていくわね。」
「ありがとうございます。」
平松さんは美術監督として活躍している反面自分のアトリエを持っていてそこでオーダーアクセサリーを作っているのだ。
今日の侑紀を見て思った。
儚いけれど強くあろうとする侑紀。
そんな彼の支えになりたい。
今はただの仕事仲間で同居人という立場でしかない俺にはそばで支える、という権利はない。
だからせめて、恭一郎ではないけれど、俺も侑紀に何かを贈りたい。
あの青のネックレスのように美しい何かを、彼に渡したいのだ。
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