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非常に残念ですが
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「ところで」
コートをハンガーにかけながらキョロキョロと会室を見渡して、佐神が首を傾げた。
「桜和副会長はまだ来ていないんデスか?」
「ああ、あいつなら多分もうすぐ……」
「おーっはよー」
噂をすれば何とやら。明るい声色の桜和が爽やかな笑みで入ってきた。
「おはようございマス」
「お、おはようございます……」
「おはよー」
「はよ」
それぞれの挨拶にもう一度軽い挨拶をしながら、俺の隣の席にリュックを置くと、「おはよ、神楽」と朝から快活な笑顔を向けてきた。
「……ああ、おはよう」
さっき月詠と話した内容のせいか、何となく変な感じがする。妙にいたたまれない。
「えー、非常に残念なお知らせをします」
コートを脱ぎながら、周りにも聞きやすいような少し大きい声で桜和が唐突にそんなことを言い出した。残念なお知らせ?
「午後から兄ちゃんが来ます」
「……」
「今から扉打ち付けて開かないようにしマスか?」
「さ、佐神くん、それは……」
残念どころか最早悲報だった。
「どうして急に? 最近はあまり来てなかっただろ」
「だからだって。朝一番に俺の顔見て、『そういえば最近遊びに行ってないな〜……よし、今日午後から久々に遊びに行くね』って」
よく似た真似付きの再現だった。流石は兄弟。
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