アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
静かな自主練
-
しばらく俺は、ひたすら日向にトスを上げ続けていた。
最初は打ちやすいところに、だんだんわざと遠くに上げたり、バックトスしたり。
それを全て落とすことなく、キレイにスパイクを決めていく。
どんなに打ちにくいトスも、ちゃんと決めてくれる日向。
セッターとしては、これほど嬉しいことはない。
いつもだったら嬉しくなって恥ずかしいと思いながらも、『ナイス日向!』って誉めてやるのに。
そしたら日向も同じように嬉しそうな顔で、『ヘヘーン』って得意気に笑ってくれるのに、でも今日は……。
「…………」
「…………」
二人ともずっと無言で……。
待ってるんだ、俺があのことを教えてくれるのを。
でも俺は、言えない。
カゴの中のボールがそろそろ無くなってきて、俺はふぅーっと長いため息を吐きながら口を開いた。
「じゃあ、ラスト1本!」
最後は日向が1番打ちやすいトスを上げる。
だけど、
日向はそれを打つことなく、何故かキャッチした。
「なんだよ? スパイク決めろよ」
「…………」
「日向?」
ボールを持ったまま真っ直ぐこちらを見つめて、何も言わない日向に、俺は怪訝顔でゆっくりと近付いた。
「どーしたんだよ?」
「まだ目、少し赤い?」
そう言って手を伸ばして、俺の目尻にそっと触れてきた。
唐突に触れてきた感触にビックリしてしまった俺は、思わず日向の手を払い除けてしまった。
「な、なんだよ!? 触んな!」
すると日向は突然顔を歪めて、俺の腕を力強く掴んできた。
「逃げんな影山!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 445