アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
遠回りの両想い
-
どこかで聞いたことある声を後ろの方から掛けられて、慌てて振り返った。
そこには、中学の頃に大変お世話になった先輩、岩泉さんの姿があった。
「あ、岩泉さん! 久しぶりです!」
「おう、影山、久しぶり。
つーか、お前ら何手ぇ握って見つめあってんだ??」
「あっ!」
そう指摘され慌てて及川さんの手を離して、後ろに下がった。
岩泉さんと久しぶりにあったのに、まさかこんな恥ずかしいとこを見られるなんて……。
岩泉さん、変に思ってないかな?
「もぉーーーー、今良いとこだったのにぃ~邪魔しないでよ岩ちゃん!」
「あぁ?」
「な、何言ってんすか及川さん!!」
「何って俺達今、チューするとこだったじゃない。
いい雰囲気だったのに、岩ちゃんのせいでムードが台無し!」
「岩泉さんに変なこと言うの止めて下さい!!」
「変なことじゃない!
俺にとっては大事なことなの!」
ギャーギャー二人で言い合いしていると、岩泉さんがフッと鼻で笑ったのに気が付いた。
「い、岩泉さん?」
「ちょっと! 何笑ってんの岩ちゃん?!」
「いや、なんだよ及川。
昨日は影山にフラれたぁ~って泣いてたくせに、今日はやけに楽しそうだな」
「ちょ! 何言っちゃってんの!」
岩泉さんの笑いを含んだ言葉に、声を荒げて赤くなる及川さん。
「そんなに泣いてたんですか?」
「ちょっと! 聞かなくていいからね飛雄!」
「コイツ昨日泣きながら俺に電話してきたんだよ」
「な、泣いてなんかないでしょ!」
「泣いてただろ、影山が本気で好きなんだぁーって。
それでも、俺はお前ら両想いだと思ってたからな。
ウジウジめんどくせぇー遠回りしてないで、早くくっつけばいいのにって中学の時から思ってた」
岩泉さんの優しい笑顔に、キュッと胸が熱くなった。
及川さんは顔を赤くしてモジモジしている。
そんな及川さんがものすごく可愛く見えて、愛しく感じた。
「そうすっね。
ずっと両想いだったのにスゲー遠回りしました」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 445