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僕のことー5<sideマキ>
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変わったのは、学校だけじゃなかった。
「あなた、私がどれだけ家事をこなして仕事もして大変だってことわかってるの!?」
「俺だって疲れてるんだよ!」
毎晩、遅くに父親が帰ってきて始まる喧嘩。
転勤をしてから、母親にかかる負担が多いのに、それに父親は何も気遣わない。
そこに母親はイラっときたらしい。
二階で寝ていても、毎晩同じ時間に両親の喧嘩を聞いて目が覚める。
苦痛でしかなかった。
自分には休めるような場所もないように感じた。
だんだん、家族が揃うこともなくなって、声を聞くことすら無くなって。
「いってきます」
と、一人小さく呟いて学校に行って…そこでもまた一人。
だんだん嫌がらせまでされるようになって、なんだか冷静にこれはいじめなのかな、なんて思う時もあった。
でも、両親に話すことなんてなかった。
話さなかった。
話したところでもっと家族の溝が深くなるだけだろうなと思ったから。
でも、すぐにそんな気遣いも意味を持たなくなった。
「お前はどっちにつく?」
両親が離婚することになった。
家は母親が出て行くことになり、一人暮らしをしている姉は母、僕は父親につくことにした。
けど、僕は母親も好きだったから、わがままを言って母方の苗字を名乗ることにした。
それから何度も父親は転勤を繰り返し、最後の転勤で落ち着いたのは中学三年生の夏だった。
ーーー“俺”は夏休み明けに登校するようになっていた。
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