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俺のことー6<side雪城>
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「…雪城 槙乃です、よろしく」
何度やったんだろう、このテンプレートのような自己紹介。
そう思いながら、俺は教壇に教師と並んで立つ。
女子から向けられる視線も、慣れた。
ありがたいことに中学生になって俺は身長が急激に伸び、顔も女顔というよりも、綺麗な整った顔だと言われるのが大半だった。
どうせ、女子なんか俺がホモだって知ったら近づかなくなるくせに。
そう思うとその視線も、ただただ気持ち悪くて、煩わしかった。
「じゃあ、雪城の席は廊下側の一番後ろに机用意したから」
そう言われて席に着く。
近所から声をかけられたけれど、やっぱり怠くて、面倒くさくて机に突っ伏して俺は無視した。
そんな俺が自分から声をかけたのは転入してから一週間くらいのこと。
「そこの席、なんでずっと欠席してんの」
すっと、俺の三つ前の席を指す。
「え!?あ、えっと…み、御子柴くんは…や、ヤクザだから…」
「ヤクザ?」
「だから…学校にくるの面倒くさくても将来決まってるし家の人はどうでもいいと思ってると思う…」
「ふぅん」
話してから思ったことは、このご時世にヤクザの子供なんて可哀想に、ということだった。
珍しく、その日は御子柴が登校していた。
そいつは登校してからずっと俺みたいに寝ては昼になったらどこかへ行ってしまった。
なんだか、勝手に俺は親近感を覚えていた。
「御子柴」
「……誰だてめぇ」
屋上に続く階段に座っている御子柴を見つけて声をかけた。
「雪城、雪城槙乃」
「………」
そう言って俺は隣に座る。
御子柴はただ静かに俺を視線で追うだけだった。
そこで俺たちは午後の授業をサボった。
会話をするわけでもなく、ただただ無言だったけれど。
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