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突然ノ誘イ。
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その日、紅葉は用があると言って俺を置いて出て行き、朝からいた矢来さんは裏の畑に行ってくると言って出て行った。
育ててる方なのか、あの人・・・。
それで、長屋にポツンと一人ぼっちしている時だった。
「おう、矢来いるかィ」
声がした。
お客さん?
出ていいのかな。
「ええっと、矢来さんは今は居ませんけど・・・」
そう言いながら、表に出ていってみれば。
「オ?お前は・・・ああ、そうかィ」
「猫だ・・・喋る二足歩行猫だ・・・」
猫さんでした。
〈***〉
「何でェ、矢来の奴ァ居ねえのかィ」
「さっき、畑に」
「畑・・・ああ、そういや言ってたなそんなこと」
猫はよく喋った。
大きさは、というか二足歩行だから、高さは小学一年生くらいあると思う。
三毛で、目は金色。
着物を着ていた。
尻尾はニ本あった。
化け猫という訳だ。
まあ喋ってるしな。
最近猫に縁があるな。
でもあの猫又はイケメンだったけど、この猫又はどう見ても化け物チックだ。
「せっかく新しく出来た甘味処に誘いに来たのによォ」
「甘味処?」
「水飴のな。お前は知らねェか」
知っているわけがない。
まだ来て数日だぞ。
紅葉からほとんど一人歩き禁止令出てるし。
「はい。あ、矢来さんに伝えておきましょうか」
「カカ、矢来『さん』ね。いや、いい。俺がまた会ったら言う」
「そうですか」
快活に笑った後、猫は髭を撫で付けながら、フウムと唸った。
「お前、イケる口か?」
「?」
「甘いモンは好きかって訊いてんだ」
「・・・まぁ、嫌いじゃないですけど」
嘘。
ホントはめっちゃ好き。
「じゃ、お前。付き合え」
「え?いや俺は・・・」
「良いから良いから。狐野郎には黙っててやるから」
「紅葉?」
「じゃ、行くぞ」
そう言うと、猫はさっさと(四足で)歩きだした。
「あ、待って・・・!」
そして、俺も仕方なくその後を追いかけるのだった・・・。
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