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その声を聞き、ゆっくりと目を開けてみる。
「…………………え…?は…?え?!」
確かにそのいるのは、夜人さん。
でも、ボサボs……さっきまでの夜人さんではなくて、、
「か、髪………」
「あ、うん。なんか気付いたらこうなってた。…あはは」
今度はしっかりと目を見開いて見てみる。
首元を隠すほどの長さがあった髪が綺麗さっぱり無くなり、襟足が短くカットされていた。
しきりに首筋に手を伸ばし、白い肌が露になった首周りが落ち着かない様子だった。
なんか、あれだ…飼ってたワンちゃんが散髪されて帰ってきたあの感じ………
「あ、あれ、…やっぱ変かな」
「はっ…!え?あっ、いえ!そんな!」
あまりの衝撃に無言で眺めてしまっていたので、咄嗟になんと言ったら良いのか分からなくなっていた。
「え、えっと…すごく素敵です!!」
本当に率直な感想だけど、お世辞っぽいかな…。
もっと上手く言い表せたらいいのに…。
「あはは、ほんと?」
そう言って、少し照れくさそうにはにかむとこちらへと歩いてきた。
傍で見ると、改めてその完成度の高さにたじろいだ。
整髪料だろうか…?なんだかちょっといつもと違う香りもしてて、まさに"大人の男性"といった雰囲気を纏っていた。
『うん。やっぱりこっちの方がしっくり来るわね。学生時代みたいで。』
「が、学生時代か…。随分と放置だったから、なんか…ちょっとそわそわするよ。」
そっか、昔は短かったんだ……。
隣にいる深雪さんと楽しげに話す様子を眺めつつ、自分の知らない夜人さんの姿がまた少し垣間見えた気がして嬉しい反面、まだまだ知らないことだらけの自分にもどかしさを覚えた。
ふと、夜人さんがこちらを見た。その瞬間、反射的に目を逸らす。
……はっ!何してるんだ僕…。
ちょっと見た目が変わったくらいで動揺し過ぎだろ…。
でも、どうしても視線を戻すことが出来ずに心臓の音だけがうるさいくらい耳に届いていた。
その後、キャメルさん達に別れ告げて美容院を後にして、再びタクシーに乗り美術館へと向かった。
向かう最中、時折夜人さんと深雪さんが打ち合わせをしていたものの、僕は2人の話を聞くことが精一杯で、夜人さんにまともに話かけることができないまま、目的地へと到着してしまった。
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