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嫌よ嫌よも… 01
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――― もうすぐ中間テスト。
夏休みに予定は無い聡だったが、最低でも赤点だけは避けたかった。
赤点の場合は、夏休み中の2週間、補講授業が入ってしまう為だ。
唯でさえ外に出たくないのに、補講は更にテンションを下降させる。
その思いから、最近は自宅で毎晩、復習をするようになった。
しかし。
(しまった…辞書…忘れた…)
次に英語の授業を控えているが、英和辞書を忘れるという大失態をしでかした。
通常の授業なら不要だったが、抜き打ち小テストを実施する先生なのだ。しかも辞書だけは持ち込みOKなのである。
(…どうする…どうする…俺…!)
一瞬にしてサーッと血の気が引いていくのが分かる。
涼太経由で友人に頼めるかも考えたが、どうも頼み難い。
悩んでいると、携帯が目に入り、ハッと成美の存在を思い出した。
しかし、昼食の場所をシェアしているだけの間柄。
(アイツ性格悪いからな…絶対貸してくれなそうだけど… )
他に頼みの綱も無いし、と。聡は成美に電話をする事を決意し、教室の外に出た。
何回目かのコールで、漸く成美が出た。
『…何?』
ぶっきらぼうに放たれた言葉に、聡は早々に希望を捨てそうになる。
「あ、あのさ。ちょっとお願いなんだけど…。辞書、貸してくんない…?」
『…なんの?』
「…英和」
ーーーブツリ。ツー、ツー。
受け取る場所は体育館裏で、と伝える前に、電話を切られた。
(え…これどっち?貸してくれんのくれないの…!?)
授業まであと5分。
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