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フレンドシップトリーティー 03
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一気に自分の体温が低くなるのが分かった。
驚いた涼太は、聡の方へ振り向く。
「ご、ごめ…」
謝罪の声は掠れており、涼太へ聞こえているのかどうかという音量だった。
周囲に座っていた生徒も、何事かとチラリと視線を聡に向ける。
気まずさに視線をさ迷わせていると、何も言わず、涼太は前へ向き直ってしまった。
聡は、自分の机の下へ戻ってきた消ゴムを、震える手で拾うのであった。
授業が終わり、次の授業までの休憩時間。
涼太の気分を更に害してしまったと思い、聡は改めて謝ろうと思っていた。
しかし、直ぐに別の生徒が涼太に話し掛けたと思うと、そのまま席を立って教室から出ていってしまった。
タイミングを逃してしまった聡は、軽く溜め息を吐くと、鞄のサイドポケットにしまっていた携帯を取り出し、日課になっているゲームアプリを開いて気を紛らわすのだった。
次の授業、またその次の授業と終わり、昼時を迎える。
結局涼太に謝るタイミングが掴めぬまま、こちらを振り向くでもなく、涼太は友達と教室を出ていってしまう。
仕方なく、聡も弁当を持って教室を後にした。
体育館裏に着くと、まだ成美の姿は無かった。先に食べていよう、と袋を開けていると足音が聞こえる。
成美が来たのだろう、と思って蓋を開けた瞬間、全く違う声色が聞こえた。
「あれ…?」
現れたのは、先日ごみ捨て場に居た女生徒だった。
聡は何故こんなところに、と冷や汗をかく。
「ねぇ、ここに神崎くん、来なかった?」
「…いや、いない…けど」
「あ、そう…」
少し寂しげな声だったが、とりあえずは此処からいなくなってくれないかと願うばかりだった。
「…追い掛けてきたからこっちの方にいると思ったのに…」
事実、現在は成美がいない為、女子生徒の問い掛けに何とも答え難かった。
「…ねぇ、ホントに知らない?」
「…え?」
「一緒に、いるんでしょ?いつも。」
ギクリと聡は身を固める。
バレたくない。でないと、唯一の安息の場所が無くなるのだ。
「今日も見ちゃった。朝、一緒にいるの。…友達なの?」
「いや…あの…その…」
「…なんか神崎くんの弱味でも握ってるの?」
「…は?」
いきなり訳のわからない質問をされ、女子生徒に視線を向けると、物凄い剣幕でこちらを見ていた。
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