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天邪鬼ロンリネス 04
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正直、早く帰りたかった聡は、反論するまでも無く帰り支度をすると、直ぐに教室を出た。
人生で初めての無断下校。
帰り道で話すかと思いきや、ぶっきらぼうに「俺の家」と成美は場所を提示した。
成美と聡は傘分の間を空けて並ぶ。
沈黙が、緊張を促進させた。
「おじゃま…します…」
成美の家に来るのは何度目になるだろうか。
濡れた傘を玄関に置き、靴を脱いで成美の後に続く。
相変わらずな成美の部屋は、無駄な物も無く綺麗に整頓されていた。
「…で?」
「え?」
「話って」
「あ、ああ。」
先ずは吉報から話した方が良いだろうと思い、聡は答案用紙を見せようとズボンを弄る。
慌ててしまった為、グシャグシャになってしまっていた。
「神崎のお陰で…80点、採れた!」
「…は?それだけ?」
「え?…あと、今朝携帯…壊れた…から、もっかい電話番号とアドレス…教えて…」
「…直ったら教える。」
相変わらずぶっきら棒な成美の返しに、聡は少しムッとした。
「神崎…何、怒ってんの?」
「…別に怒ってねえよ。」
「じゃあ…なんでメール返さねえんだよ…」
「…」
「寧ろ、怒ってもおかしく無えの…俺の立場だったと思うんだけど…」
「…そんなに嫌だったんかよ」
「お、お前、男だぞ!?普通、おかしいだろ」
急に当時の様子を思い出し、聡は顔を赤らめる。
「…そうだよな」
「…?どうしたんだよ、神崎」
「…」
「…おい、黙って無いで何か言えよ」
「速水」
「何?」
「…速水」
「…だから、何だよ…」
「…聡」
「…」
「…」
沈黙の後、聡は自分の名前が呼ばれた事に気付く。
何故成美が下の名前を呼んだのか、分からなかった。
「…な、なんで…フルネーム…?」
「お前も呼んでみろよ」
「え…?か、神崎…成美…」
「ばーか。下だけだよ」
「え…な、なんで」
「いいから」
「し…し…成美…」
名前を呼んだ後、恥ずかしさが全身に広がる。
成美の顔を見る事ができない。
沈黙が2人を包む。
--ドッドッ
心音のリズムが加速していく。
聡は俯いたまま、成美の表情を確認するようにチラリと視線を向けた。
バチリと視線が合うと、動けなくなった。
成美が2人の距離を徐々に縮めると、聡の肩を掴む。
「俺、お前の事…」
「え…え…?」
狼狽している聡に、成美がポツリと告げた。
「友達と思えなくなった」
高揚した温度が一気に下がる。
やはり面倒と思われたのだろうか。
『何がダメだった?』 『やっぱり友達ごっこだった?』
グルグル回る思考の中、息苦しくなってきた聡は、それが物理的なものだと理解するのに時間が掛かった。
唇に柔らかいものが当たっている。
「…ん?」
成美に、人生で2回目となるキスをされていた。
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