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「ちょっと、じっとしてて下さいね」
突然間近で聞こえた声に、身体をカタカタ震わせると……クスリと笑う音が聞こえて、すぐに目隠しが外された。
「これは外したら怒られるので、食事まで我慢して下さい」
「んっ」
急に明るくなった視界に目を細めてからそっと開くと、見た事のある生徒が叶多の唇あたりに触れていた。
―――確か、書紀の……。
「先ずは胎内(なか)のを出しましょう。自分で動けるようでしたら、うつ伏せになって貰えますか?」
「んっ……ぅ」
―――射矢って人だ。
叶多を部屋まで迎えに来て、此処へと連れて来た人物。
初対面の時と同様に事務的過ぎる射矢の様子に、呑まれるように叶多は痛む身体をノロノロ動かして……何とか彼に言われた通りうつ伏せの格好になった。
「ご存知かもしれませんが、これから先、自分でやらなければならなくなると思うので、知らないようなら良く覚えていて下さい。エネマシリンジ……って言っても分からないでしょうか?これはそれの簡易版です。医療用では無いですが、あれより使い易いと思います」
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