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何故急に、叶多に対する態度を変えたか分からない以上、何か裏があると疑って掛った方が良いだろう。
「またそうやって黙る。何か言いかけてたろ?言ってみな」
「別に、何も……」
言葉はいつも咽の辺りでつっかえたように声にならないが、それを誰かに指摘された事は殆ど無いから心が酷くざわついた。
まるで全てを見透したような、佐野の言葉が胸に刺さる。
―――でも、言っても無駄だ。
「言っても無駄って思ってる?」
「っ?!」
「いつもそう顔に書いてある。でもさ、ホントにそう?全部無駄?」
「……ぁっ!」
突然……伸びて来た佐野の掌に頬を包むように固定され、額と額がくっついてしまう位に顔が近付けられた。
「離し……」
「言ってみろよ。お前はどうしたいか」
声音が少し低くなる。表情こそ微笑んでいるが、腹の底がまるで読めない暗く深い瞳の色に、叶多は堪らず視線を逸らして唇をキュッと噛みしめた。
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