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「そうか」
「あっ」
腰の辺りを掴んだ須賀に身体をヒョイっと持ち上げられ、反転させられ跨ぐように膝の上へと乗せられて……今度は彼と向き合うような体勢を取らされた。
「顔、上げろ」
頭上から降った低い声音の命じるままに顔を上げると、思ったよりも近い所に須賀の端正な顔がある。
「コレは、何の痕だ?」
鎖骨辺りの火傷の痕へと指をゆっくり這わされて、何故そんな事を聞くのか分からず叶多は視線を下へと向けた。
―――分かってる……筈なのに。
「火傷……です」
囁くような小さな声で答えると、指はそこから少し移動して「こっちは何だ?」と尋ねて来る。
「それは……分かりません」
「へえ……」
火傷は煙草を押しつけられ、薄く残された裂傷の痕は鞭で打たれた時の物だが、思い出したくもない過去だから、こんな不毛な質問をするのは心底止めて欲しかった。
「誰にやられた?」
「……覚えてません」
忘れてしまった訳では無いが、それを彼へと告げた所で過去を変えられる筈も無く……ただ惨めだった昔の自分を、思い出してしまうだけだ。
そう考えて睫毛を伏せるといきなり顎を強く掴まれ、無理矢理視線が絡むように上向きに固定されてしまった。
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