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「俺に聞きたいこと、あるんじゃない?」
気にしないように板書をノートに写していると、佐野が横から囁いてきて、堪らず叶多は視線を向けると小さく彼に頷き返す。
「あーあ、折角俺が触っても震えなくなったのに、また逆戻りか……で、何が聞きたい?あんま時間が無いから手短に……ね」
「あ、あなたは一体……唯とどういう……」
『関係なのか?』と続けようとした丁度その時、教室のドアが再度開いて、振り仰いだ叶多の視界に伊東の姿が映り込んだ。
「流石久世君……仕事が速いなぁ」
「佐野さん、会長の従者から離れて下さい」
「いいよ。だけど、お前等の会長の命令に従って、この子は幸せになれると思う?」
「お前がそれを言うのか?お前だって……」
その言葉に……勢い良く席を立った瞬が反論するけれど、同時に立った佐野が指し示した教科書のメモを見た途端、頭の中が一杯になって何がなんだか分からなくなる。
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