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「窮……屈?」
そこへ来て、初めて叶多は足に僅かな違和感を覚えた。
その正体を確かめようと、身体を捩って起きようとすると、制止するように唯人の指が喉仏へと軽く触れる。
「まだ、薬が抜けてないから、動かない方がいい。期日までの一ヶ月……それが済んだら自由になれるから……ね」
穏やかな……以前と変わらぬ綺麗な笑みに、状況も飲み込めないまま叶多はコクリと頷いた。
幼い頃から唯人に従い、彼の言うことに間違いは無いと信じ続けてここまで来たから、疑うなんて思いも因らない。
「あとでゆっくり話をしよう。今はまだ、疲れてるだろうから、もう少し……寝てていい」
優しい声音でそう告げながら、立ち上がった唯人が叶多の頬を撫で……額にキスを落としてきた。
「……なっ」
一緒に過ごした長い間に、こんな事など無かったから……叶多が驚き声を上げると、クスリと笑った唯人はそのまま掌を使い瞼を覆う。
「何も考えなくていい」
視界を断たれた暗い世界に、大切な人の紡ぐ言葉。
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