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この声に……従う事が当然なのだと叶多は良く知っている。
ーーー僕は……帰ってきた。
自らの意志で唯人の差し出す掌を掴み戻って来た。
だから、いままで通り彼の言う事を何より優先しなければならない。
ーーーだけど……。
胸の一番深い所で、何かがくすぶり続けていた。
それが何かは分からないけど、今の叶多は疲弊していて考えるだけの気力も無い。
「唯、僕……」
「ん?何?」
「……明弘さ……あい…たくな……」
「父さん?……大丈夫だよ、まだ叶多の事は話してない」
事情を知らないからだろう……穏やかにそう答えながらも、不思議そうな唯人の声音に不安が襲ってくるけれど、それ以上は意識が持たずに叶多は再度眠りに落ちた。
***
次に目を覚ました時には、辺りには誰もいなかった。
どうやら寝ている間に外は夜になってしまったらしいが、天井に見える灯り採り用の窓から月が覗いてている為、薄暗いけれど全く何も見えないという訳じゃない。
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