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寂しいよぉ side水音
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「水音、それじゃあ行ってくるな。ちゃんと元気に!…留守番するんだぞ」
「はい」
『元気に』のところを強調した司さん。その隣りでは凛太朗さんがニコニコしている。
…凛太朗さんて呼んでいいかなぁ?
その問いかけを口にする前に司さんと凛太朗さんは出かけていってしまった。
今日は早く帰れるかどうか分からないらしい。
「寂しいな…」
司さんには平気な顔をしたけど、ホントは今すぐ泣いてしまいたいくらい寂しい。
また、イヤな時間が来てしまった。
司さんのいないボクの見る景色はどことなくくすんでみえる。
ボクはまたリビングの窓の前に座って、お外を眺める。水の入ったペットボトルも忘れない。
今日も空はどんよりと雲が立ち込めて、今にも泣き出しそうだ。
司さん、傘持ってたっけ…
コーンスープ、おいしかったな。
次はいつ貰えるだろうか。
凛太朗さん、いい人だったな。
またいつか会えるだろうか。
そこまで考えてボクは小さく首を振った。膝を抱え込み、そこに顔をうずめる。
…ダメだ。ボク、ウソつきになってる。
ホントはコーンスープなんか、凛太朗さんにまた会えるのかなんか、どうでもいいなんて思ってるクセに。
「司さん、ボク…寂しいよぉ」
凛太朗さんは優しくていい人だけど、昨日も今日の朝も司さんは凛太朗さんのことばかり気にしていた。
凛太朗さんの前で『寂しい』『ダッコ』『スキ』なんて口が裂けても言えないから、頑張ってしがみついていたのに、司さんは全然気づいてくれなかった。
「寂しいよぉ…司さん…」
ふいに司さんに抱きつきたくなった。あの温かい腕でギュッてしてほしくなった。でも、振り返っても誰も…
「あ、そうだ!」
どうして忘れていたんだろう。
ボクはリビングを飛び出した。
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