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確かな友情と少しの恋情
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次の朝。
俺は司の家にいる。
今日は仕事が休みだ。
あぁ…このまどろみがなんとも言えず心地よい。
だがそのまどろみに俺が浸っているにもかかわらず、誰かが俺の肩を遠慮がちにゆする。
悪いけどそんな優しく起こされても、俺は起きる気はさらさらない。
もう一度意識をあずけようとしたその時、見知らぬ声が耳に入ってきた。
「おじさん、おじさん!」
「へ?」
誰?
俺は驚いてようやく目を開けた。
「ふあぁぁあ…」
あーねむ。今日くらい寝かしてくれよ。
「あ、起きた!おじさん起きた?」
「はいはい、起きましたよ?…うわ!!」
目の前には朝の日差しに照らされた、見たこともない美少年がいた。
ふわー…まつげなっが。
しかも泣いてるし。
「おじさん、あの、起こしてゴメンなさい!
でもね、でもね、司さんが、司さんが!!」
「え!? 司が? 司がどうした!」
「倒れてるの!おじさん助けて!司さん死んじゃヤダァ!!」
「司が!? 司、司!!」
一気に気が動転した俺はソファの足元に転がっている司を見つけて抱き起こした。
「司!司!!おい!起きろ!起きろよ!
…って寝てるだけじゃん!!」
俺は勢いに任せて床をバシンと叩いた。
あ、思わずつっこんじゃった。
だが、美少年は本気でそう思っていたらしく
「え…?寝てる、だけ?」
目をパチクリさせていた。
「ん…何?うるさいよ、水音ぇ…どした?
ってなんでハンガー?」
のそのそと俺の腕から司が起き上がった。
「ハンガー??」
「あ、青史。…そっか。おはよ」
「あ、あぁ。おはよう」
まだ眠いらしく、目をこするしぐさがかわいらしい。
「こ、これは…その…」
美少年が困ったように、焦ったように持っていた黒のハンガーを背中に隠した。
「あの…司さん、ソファの下、倒れてた…あの…その…おじさん…助けて、言った」
はい?
もともと言葉のたどたどしかった美少年だが、しゃべるのがニガテなのだろうか。
俺は頭の中で美少年の言葉を反芻したが、イマイチ意味が分からない。
その時、頭の片隅で何かが光った。
あれ?さっき、司、コイツのこと水音って…
「え?水音? なんかどっかで聞いたような…」
「何いってるの、青史。もしかしてまだ寝ぼけてるの?」
「いや寝ぼけてネェよ。コイツのおかげでいい目覚めだったわ。
あ、そうだ!ところで司、コイツ誰? なんでコイツが俺を起こすんだ?」
「ご、ごめんなさい!!」
「うわ!そんな大袈裟な…謝らなくていいって」
あろうことかその美少年、その場で起立して綺麗に45度、頭を下げたのだ。
「おじさん、ごめんなさい!あの…ボク、このハンガー…つついて、起こしちゃった…からごめんなさい」
何気に失礼だな。
そう思った俺だが、必死に謝ってショボンとしているヤツに怒るほどの俺じゃねぇ。
キャー!俺、イイ奴!!カッケー!
…はい。ふざけました、すみませんネ。
「いいってことよ。でもおじさんはいただけないなー。兄貴って呼びな!」
「あに…兄貴!兄貴!兄貴!」
「おう、おう。兄貴だぜーはっはっはー」
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