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目が覚めると、周囲は闇に包まれていた。見覚えのない天井をボーッと眺めていると右半身に違和感を感じた。
身じろぎしようとして、身体がびくとも動かないことに気がつきそっと息を吐く。
(全く……オレは抱き枕ではないのだよ)
寝息が首筋に当たる。暖かい体温を感じて、緑間は苦笑しながら高尾を起こさないようにそっと腕から抜け出そうとした。
だが。
「ん?」
腕を解こうとしたけれど、抱きしめるように回った腕は全く緩まない。眠っているはずなのにこの力はなんだ?
「……高尾。起きているな」
絶対にそうだという確信を持って、緑間は彼の腕を揺さぶった。
すると高尾はぱっちりと目を開けて表情を緩める。
「なぁんだ、バレちゃぁしゃーねーな」
もう少しこうしていたかったのに。と、残念そうに呟く高尾に思わず溜息が洩れた。
「それにしてもさ、真ちゃん今日ヤりすぎじゃね? 腰がチョー痛てぇ。やっぱメイドさんにコーフンしちゃった?」
「馬鹿を言うな高尾。お前が強請るから付き合ってやっただけだ」
クスクスと笑いながら顔を覗き込まれ、緑間はフンと顔を背ける。
確かに、少しヤり過ぎた感は否めない。昼過ぎにここに来て、それから今までベッドの上から一度も降りていない。
何度身体を合わせても飽き足らず、狂ったように互いの身体を求め合ってしまった。
普段は絶対に見ることの出来ない姿に興奮し、我を忘れるほど行為に没頭するなど、普段の自分からは絶対にありえない事。
高尾が言うように、いつもと違うシチュエーションだったからだろうか?
本当に自分らしからぬことをしてしまったと、今更ながらに後悔している。
「それにしても……コレ、どうすっかな?」
ごろんと寝返りを打って、高尾が困ったように苦笑する。
ベッド下に散乱したメイド服の残骸は無残なものだ。服のあちこちに二人が放った精液が付着しておりそれが乾いてカピカピな染みを作っている。
「捨てるしかないのだよ」
ベッドの縁に凭れ高尾は残念そうに肩を竦めた。
「だよなぁ。あ~ぁ、せっかく真ちゃんに着せようと思って買ったのに勿体ねぇ」
「オレはそんなもの着ないと言っているだろう!」
「え~、案外似合うんじゃね? 真ちゃん美人だし」
「お前の目は節穴か!?」
全く、なにを考えているんだと呆れてしまう。
「あははっ! 冗談だって、冗談。そー怖い顔すんなよ」
ヘラヘラと笑う高尾を見て、緑間は盛大な溜息を一つ。一体自分のどこを見て女装したら可愛いなどと思えるのか理解に苦しむ。
「大体にして、お前の冗談は悪趣味なのだよ」
「でも真ちゃん、その服を俺が着るつったら嬉しいだろ? ミニスカナースとか、女子高生風セーラー服とか」
「……む?」
自分が着るのは確かに嫌だが、高尾が着るとしたら?
ミニスカのナース服を着て今度はお医者さんごっこでもするつもりだろうか?
ほんの一瞬、自分が医者で、高尾がナースの格好をしてアレやコレやと卑猥なことをしている場面が脳裏を過ぎった。
それはそれで、燃えるかもしれない!
「ぶっ! ひゃはははっ! 真ちゃん、マジで考えちゃった? やっらし~!」
ニヤニヤと笑いながら、堪えきれなくなった高尾が指をさして笑い出した。
「なぁなぁ、どんな場面想像したんだよ?」
「知らん!」
「嘘つくなって。顔がにやけてんぞ」
ちょいちょいと、にやけ顔の高尾が頬をつつく。
「オレは嘘など吐いていないし、顔も普通だ!」
「ククッ、でもちょっといいかもって思ったっしょ? ナースとか。買っちゃう?」
「買うのは構わんが、オレを巻き込むな!」
思わずツンとそっぽを向いてしまった。その反応が面白かったのか高尾はますます顔を笑いの形に歪ませる。
人をからかってなにが楽しいのかわからない。
「全く、悪趣味なのだよ」
と、呟いて緑間は盛大な溜息を吐いた。
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