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気が付くと見慣れた天井と照明が目に入った。
ガバッと起き上って、あれは夢だったのかと辺りを見回す。
「~~~ッ」
その途端、腰に響く鈍い痛みに顔を顰め再びベッドに体を沈めた。
行為の途中から記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっている。おまけになんとなく頭も痛い。
「気が付いたか?」
「おわっ!? 真ちゃん……いたのかよ!?」
突然声がして驚いてそちらを見ると、入口に朝と同じ格好をした緑間が立っていた。
「全く、お前は約半日眠っていたのだよ……」
「げぇっ、マジで!?」
「せっかく来てやったのに」
いい迷惑だ。と、冷たく言われ言葉に詰まる。
「ごめんな~。まさか意識ぶっ飛んじゃうとは思わなくって」
アハハッと笑い飛ばしたら、そっと頭を撫でられて高尾は戸惑った。
いつもなら、「だからお前はダメなのだ」とかなんとか言って来そうなものなのに。
「本当に、正月早々いい迷惑だ……」
「うッ……マジで、ごめんて」
「――だが、今日のお前は……中々……」
頭を撫でていた手がゆっくりと口元に降りてきて、指が優しく唇に触れる。
「へ? 真、ちゃん……?」
「……ッ! なんでもないっ!」
見上げると、ハッとしたように手を引っ込めてふいと顔を逸らしてしまった。
「???」
事情がよく呑み込めず首を傾げる高尾をちらりと見て、緑間は眼鏡を押し上げコホンと咳払いを一つ。
「と、とにかく! 今からでも遅くは無い。初詣に行くのだよ」
「げぇ! 今からかよ」
「当然だ。お前のせいで半日潰れたのだからリアカーじゃんけんはなしだからな!」
「ちょっ! 俺、腰痛いんだけど!?」
「それは自業自得と言うものなのだよ。もっと、もっとと強請ったお前が悪い」
「……ッ」
そんなことまで口走ったのか。と、自分自身に驚いた。
「早く支度をしろ!」
「へいへーい」
既にコートを着込み準備万端な相方の背中を見つめ、調子に乗って酒を煽るのはやめた方がいいなと心に刻んだ高尾だった。
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