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俺がこれ以上話す気はないとわかっているのか、瑞樹が再び口を開くことはない。
「仁ちゃん?いいの?」
嶋津が俺と瑞樹を交互に見て、心配そうな声で聞いてくる。
「構わん。」
木田瑞樹
それがヤツの名前。
……瑞樹はこの学園に来た時からの友人だ。
最初、声をかけてきたのはあいつからでとにかくお節介でしつこくて面倒くさい奴だった。
突き放す俺の言葉を物ともせず、毎日いつ何時も…というのは言い過ぎかもしれねぇが、それくらい俺のそばにはあいつがいた。
いつしかそれが当たり前になっていた。
でも日常化していたそれはあの任命式の日に終わりを告げた。
俺が生徒会長になってからは、一緒にいる機会はなくなり、話すことも減った。
それでも毎日のように連絡してくるあいつに何度しつこいと呆れたものか……
そして、転入生がきてまたしても一変した日常。
どっかから湧き出た俺の噂を生徒たちが信じ、非難する中、瑞樹だけはそれを否定していた。
本人である俺でさえ否定しなかったというのにだ。
とんだお節介野郎はいつまでたっても変わらないようだ。
「……仁ちゃん。」
「さっさと帰ってカレー作るぞ。」
「あれ??シチューじゃないの?」
「気が変わった。それよりこの無駄なものを戻してこい。」
「えぇ〜!?お菓子は大事だよ!糖分は頭を使う上では必須なんだよ??」
「お前はいつ頭を使うんだ。無駄な糖分は生活習慣病への一歩だ、アホ。」
「ひどぉーい!」
俺はもう振り返ることなく、その場を後にした。
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