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「……俺は仁ちゃんの友達だから」
絞り出されたような声
でも、今までとは違いどこか迷いの見える声
あえてそれには何も答えなかった。
……人はどうせ自分が一番
自分のためならなんだって切り捨てられる。
裏切るのだって簡単なんだ。
……なぁ?
嶋津、お前だって同じだろ?
それから、嶋津はいつからいたのか、突然現れた駿に連れられ教室を出て行った。
その際またも心配そうに名を呼ばれたがそれにも一切返事をしなかった。
嶋津が戻ってこないまま放課後の時間になり、帰ろうと席を立った時だった。
「片桐仁」
前から呼ばれて顔を上げると、今まで話したこともなかった生徒が立っていた。
「なんのようだ」
「わかってんだろ?階段の横の空き部屋に来い。逃げたら容赦しねぇ」
そう言い残し、生徒は何人かと連なって教室から去った。
まぁ、こうなることはわかっていた。
「はぁ……めんどくせぇ…」
荷物をまとめてドアに向かおうとした時、
「仁!」
突然後ろから腕を掴まれた。
振り返ると涼と奏が立っている
「何か用か?」
「……お前、行く気か?」
「面倒だが、行かない方があとあと面倒だろ」
当たり前のように答えると涼はあからさまに顔をしかめた。
「何されるかわかってんだろ?悟さんもいないんだ、悪いこと言わないから行くな」
「……嶋津がいないから呼び出してきたんだろ?つか、俺に命令するな」
そう言って涼の腕を振り払った。
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