アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
166
-
「フン……バカが」
こうやって考えることが嫌いだったから、嫌でも認めなくなかったからずっと他人に押し付けてきたんだろ?
何を今更自ら縛られるようなことを……
嘲笑が漏れる。
無様だ。
俺は…なんて無様なんだ
顔を上に向けたまま、空から目を逸らすことができない。
だせぇよ
心底情けねぇったらない
でも、これが俺だ。
ポケットに突っ込んだ両手を強く握りしめた。
「……空なんか見上げて何に浸ってんだ」
「…っ!?」
突然背後から聞こえた声
俺は慌てて振り返った。
そこに立っていたのは……
「玖川……」
音もなく現れたそいつは少し離れた外灯の下で相変わらずの無表情で俺を見据えていた。
「何、考えてた」
「別に」
会話らしからぬ会話
再び玖川から目をそらした。
ゆっくりと静かな足音が近づく
それが真横で止まった……と、思うと突然、全身を何かに包まれた。
「……何してんだ」
「さみぃんだろ?そんな薄着で外に出るな」
身体にかけられたものをよく見るとさっきまで玖川が着ていた黒のダウンコートだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
166 / 376