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「チッ…いい加減にしろ」
「いいじゃねぇか、さみぃんだよ」
だったらなんでコート貸したんだっての
「てめぇが猫みてぇに震えてたからな」
「ね、猫…だと…」
うぜぇ…
んなこと言われたことねぇぞ、おい
しかも俺まだ何も言ってねぇよ
「お前はわかりやすい」
「チッ……」
またそれか…
いくら押してもビクともせず、面倒になって抵抗をやめた。
それに気づいた玖川は小さく笑ってようやく体を離した。
「お前、本当に弱いんだな。そんなんだとすぐ喰われちまうぞ」
「黙れ。んなわけねぇだろ?」
「………ふーん?」
玖川はグッと口角をあげると右手を持ち上げて俺の頬に触れてきた。
「な、何を…」
「黙れ」
低くてドスの効いた声
細められた鋭い目が射抜かんばかりに俺を捉えている。
「…っ………」
その迫力に思わず固まってしまった
「仁……」
低い声が俺の名を呼ぶ
玖川は左手で軽く前髪を掻きあげると少しずつ距離を縮めてきた。
逃げねぇと…このままじゃ、また…
……クソっ…
わかっているのに動けねぇ…
思考が停止しかけている
外灯の光だけで照らされた玖川の整った顔が近づく
俺はただそれを見つめた。
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