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唇が触れ合っていたのはほんの一瞬だけだったが、とてつもなく長い時間に感じた。
ニヤリと不敵な笑みを浮かべて離れる玖川
俺は放心したまま、唇に手を当てた。
「おいおい。お前ら、朝から盛るな」
呆れたような黒木の声でハッと我に返った。
「っ…て、めぇ……ふざけんなっ…こんなことばっかして楽しいか?あ?」
「……あぁ、楽しい」
ふざけんな……
「……バカにするにもほどがある。お前は何がしたいんだ」
湧き上がる怒りを押し殺して、出来る限り冷静な声を心掛ける。
すると、玖川は苦笑を漏らした。
「……ずっと言ってるだろ?お前を俺のものにするって」
「そのことなら、断ったはすだ。お前のお遊びに俺を巻き込むな。今後一切、こういう冗談はやめろ、いいな」
玖川はそれに何も言わず、ただ再び苦笑いを浮かべて、前を向いた。
俺はいまだにヤツの感触が残っている唇を制服の袖で吹きながら机にうなだれた。
「よし、もういいか?ったく、俺の貴重な時間をとらせるなっての」
黒木がぶつぶつ言いながら出席簿を開く。
目の前の大きな背中
俺はそれを思い切り睨みつけて、視線を窓の外に向けた。
別にキスの一つや二つ気にはなんねぇ
言ってしまえばどうだっていい
でも…なんか知らねぇがむしゃくしゃする。
よくわからねぇやり場のない感情に、ただ重いため息を漏らして目を閉じた。
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