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しばらく東の机の書類を眺めていると、扉が静かに開いた。
入ってきたのは東と風紀委員であろう生徒が一人。
二人は俺を見るなり、目を見開いた。
「……片桐」
「よぉ。先に入らせてもらったぞ」
書類を置き、片手をあげると東はあぁと呟き俺のそばまで来た。
「……すげぇだろ、それ」
東は机の上の書類を一瞥し、苦笑いを浮かべた。
「あぁ。予想以上だな」
ここまで風紀に負担がかかっていたとはね。
なんだが、気の毒に思えてくる。
「お前が来てくれてホッとした」
そう言ってやつは俺に微笑みかけてきた。
俺はそれを見つめてしばし黙る。
そんな俺を不審に思ったのか怪訝そうな顔で睨み返してきた。
「……なんだよ」
「いや、お前が俺にそんな顔するのは初めてだと思ってたな」
「そ、そうか?」
「あぁ。お前は俺と目が合えば不機嫌そうに睨んできやがるし。口を開いたかと思えば、嫌味ったらしいことばっかり言いやがる。本当、いつの間にそこまで丸くなったのやら」
遠慮なく言ってやると東は思いっきり口を尖らせた。
「そ、それはお前だって同じだろう?人のこと散々無能だの、役立たずだの言いたい放題言いやがって!」
「俺は真実を述べていたまでだ」
そうきっぱり言い切ると彼は悔しそうに奥歯を噛み締めた。
その様子は今まで見たことないくらいガキっぽくて、高校生らしかった。
ヤツには似合わない一面に思わず微笑がこぼれる。
「な、何笑ってんだよ!」
「フッ…いや、お前も人間なんだなって」
そう言うと東は複雑そうな顔をする
俺はそれを見て再度小さく笑った。
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