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「ふんー、ふふふんーふーん」
洗面所に押し入れられた俺は、大人しく洗顔をすませ今は、鼻歌を歌いながら歯磨き中だ。
早く歯磨きを済ませて朝食にありつきたい反面、「ちゃんと歯磨きしてないでしょぉ~?」なんてニコニコ笑顔の桐に迫られるのも嫌なので丁寧に磨いている。
桐は昔から面倒見がよかったけど……もう、面倒見がいいってレベルやないで、これ。
おかんや、おかん。
久しぶりにあった桐は、おかんスキルを備えていた。
磨き終えた歯をゆすいで、傍らにあるタオルで口をふく。
「っはぁー」
使ったタオルをそのまま洗濯機に放り込むと目の前の鏡をみる。
「うん、ちゃんと洗えてる」
にぃっと笑って白い歯を確認して、うんうんと頷く。
あ、別にナルシストやないからな、唯の確認や確認。
そう思いながらも鏡に映る自分をジッと見てしまうのは年頃の男としては仕方のないことじゃないだろうか。
鏡に映った自分の顔を見て「はぁ」とため息をつく。
なんでこんなんになってもうたんや。
少し前の自分では想像もつかない黒髪に目が行く。
金髪だったあの頃が懐かしいなんて思うんだけど、実際黒髪になったのは数日前で。
それでもやっぱり懐かしく感じるのは、その数日感が思いのほか濃かったからだろう。
にしても、本当に中学の時とはぐるりと雰囲気が変わった自分に感心する。
イメチェン大成功やないか、まぁ望んでたわけやないけど。
髪も雰囲気もかわって、それでも変わらない目つきの悪さが気になる。
少しは、優しい目元にならないかなんて、目尻を指で下げたりしたこともあったが、もう諦めた。
そういえば、目つきは悪いけど女子にはよく羨ましがられたなぁ。この、睫毛。
俺からしたら、単に邪魔なんやけども。
「さぁ、そろそろ行くか」
無駄に長いまつげを軽く引っ張ると鏡をみるのをやめ、待っているであろう朝食へと足を進めた。
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