アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
分からない
-
雅希side
雅希は考える。
ーーそのくらい嫌いだったはずだ。憎んでいたはずだった。だけど、実際に今日やってみて、なんだか違和感を覚えた。俺が本当にしたかったこととは違うんじゃないのかって。
答えない雅希を見て優斗は自嘲気味に笑って「嫌いなんだね」と微かに声を発した。
「マサ…俺分からないんだ。マサが俺にこんなことするくらい、俺を嫌う理由が。初めて犯された日からずっとずっと考えてきたんだ。マサが繰り返す罰って意味を。だけど分からない。分からないんだよ。」
追い詰められたように声を発する優斗を見ると、赤く腫れた目からまた涙を流していた。
ーー分からない…か。まあ、分かるわけもないか。兄貴にとってはそのくらいのことなんだろうから。
動くのは辛いだろうと考えて、風呂に浸かる優斗の頭にシャワーをかけて、シャンプーを手に取り髪を洗ってやる。
昼はあんなことをしたのに、今は何もせずに髪を洗っている雅希に、優斗は困惑しているようだった。
髪を洗い終わった後に優斗が意を決したように口を開いた。
「マサ教えてほしい。マサが俺のこと嫌う理由。」
教えようか迷う。何も知らないまま犯されるのは可哀想だと心のどこかで思った。
「いいよ。教えてあげる。」
だけど全部は教えない。キーワードだけ教えて、考えさせる。考える時間が長くなるほど、自分が悪いと感じて辛くなるから。
ーーあの時の俺みたいに
「あの時の約束破ったからだよ。俺はあの約束を守ってくれるって信じてた。だけど、兄貴は守らなかったから。それに…いや何でもない」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
72 / 180