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朝。
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フワフワ浮いている。
俺の好きな深緑色の風景の中をフワフワ浮かんでいる。
なんか、気持ちいいな。あったかいな。
『志真は、元気な子。』
フワフワしてる。本当、力入れてません、脱力ですって感じ。
『志真は、明るい子。』
フワフワ……
『志真は、奇跡の子。』
誰の声だろう。
何だか、心地いいなー。
あ、そうかまたこの夢か。いつも、起きたら忘れてしまう、居心地の良い夢。
『志真は、みんなの希望。』
ずーっと見てたいな。
このまま、浮いてたいな。フワフワ……
ドンドンドンドンドン!!
ジリジリジリジリジリッ!!
ブーブーブーブーブー……
妙に機械的な音が突然、俺の夢の中に乱入してきて、何だかフワフワしてたのが、いきなり無くなって、段々と覚醒してきた。
「……ん。ん?あれ?えっ。」
ベットからガバッと起きて、さっきからジリジリとうるさいめざまし時計を止める。
そして、さっきからブーブーとうるさく響くバイブ音を止めるために、携帯を見たところで、寝起きの良い俺は、頭に一気に血が上っていくのがわかった。
そして、瞬時にわかってしまう。
このドンドンと何かものを叩くような音の正体が___
「しーまー!志真ちゃんー!志真!!」
俺を呼ぶ声はどう考えても、昨日出会った少年の声で、俺はベットからずり落ちるかのごとく起きて、まだ起きたて1分の頭を働かせて、寝室を出てドアへ向かう。
とりあえず、ドアの鍵を開けて、ドアノブに手を掛けて、ドアを開けてそのまま、上を見ずに土下座。
「おはようございます!本当に、申し訳ないことに、わたくし唐澤志真は、たった今起きた所存であります!そして、只今の時刻が午前8時10分であるのは、時計で確認をしておりまして!ですから___」
「あー!わかったわかった。いいから、早く着替えて来て!マジで、入学早々遅刻はないから。ほら、入った入った。」
少年……衛は、土下座している俺の腕を掴み、そのまま部屋の中へと逆戻りさせた。
そこからの展開は、もうこの世のものとは思えないほどのスピードであった。
俺は、段々と完璧な覚醒へと向かい、衛は昨日と同じようにソファーに座っていて、俺は昨日一度袖を通した制服を、はち切れんばかりに乱暴に着ていった。
中学時代は、学ランだったので、ブレザー、ネクタイがこれほどまでに面倒だとは、不覚だった。
俺は、ネクタイは結ばず、手に持ち、昨日のうちに幸い用意してあったスクールバッグを手に、衛が待つリビングへと向かった。
「お待たせ!ごめん、衛。あとで、ネクタイの結び方教えて。とりあえず、行こう。」
俺がそう言って、ドアへ向かおうとしたところを、衛は、待てい、と言って制止した。
そして、俺を自分の方に向き直らせる。
俺は、自然と衛と向き合う形になる。
昨日は、あまり気にしなかったけど、こうやって向き合うと、衛は背が高い。いや、180cmあるかもとか思ってたけど、これはマジであるぞ。
そして、衛は何も言わずに俺のワイシャツの襟を立て、もうびっくりするぐらい素晴らしい手つきで、俺が持っていたネクタイを結んでいく。そして、結び終わったと思うと、襟を元に戻し、俺をまた前に向かせた。
「よし。」
その速さ、およそ15秒。
GOサインをもらった俺は、急いで部屋の外へ出る。
そして、出たところで気がつく。
俺、校舎への行き方がわからない。
俺が固まってると、衛が俺の手を掴んで歩き出した。
俺は、とりあえず衛に身を任せたまま、死ぬほど全力で走った。
朝から心臓に悪い。
というか、衛の早歩きが真面目にはやい!
俺、走ってる。衛、早歩き。
神様は、足の長さまでは、平等にしてくれないらしい。というか、足の長さとか身長くらい別にどーでもいいでしょ、とか絶対思ってるよね、神様さま。
そして、どうやら校舎の前らしきところに着いたようで、衛が足を止めた。
俺は、衛から手を離して、膝に手をつき、呼吸を整える。朝は、テンションや頭の回転は早いのだが、実は体を動かしたりするのがダメだ。俺の場合、朝はいつもの2割だ。体力が。
時計を目にすると、8時20分。
始業まで、あと10分。
すごい!頑張れば、起きてから10分でここまで来られる。味をしめてはならない。時間には、余裕を持って行動するに越したことはない。
「しーま。ちょっと、ゆっくりしてるところ悪いけど、とりあえず教室まで行こう。今見たけど、俺と志真、同じクラスだったから。」
そう言って、本当全て衛の誘導で、俺は教室へ向かった。
もし、昨日衛と出会ってなかったら……うん。まず、まだお布団の中だ。
感謝感謝。
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