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暴走
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放課後。
俺は、1人であるところへ向かっていた。
衛は、最近何だか忙しいのか、昼休みと放課後、一緒にいないことのほうが多い。きっと、部活が楽しいのだ。仕方ない。
生徒会役員は、あの後から俺に何も接触してこない。
それが、今の俺にとって、不幸中の幸いだろう。もし、今日も、昼休みに副会長とかミケ先輩とかが俺のところに来たら、今ごろ血祭りだ。
うちのクラス、権力者多いからな……社会的に。しかも、本人じゃなくて、親が。
そして、今日、この学園の案内図を初めて見たんだけど(今まで見なかったのは、興味がなかったから)、俺とか衛とかの部屋がある第一寮は、1番高等部校舎に近いことがわかった。
第三寮は、校舎から10分かかるところにある。
第一寮で良かった……
なんで、案内図なんかを見たかというと、実は、図書館へ向かうためである。
高等部校舎に、図書室はある。
でも、この学園自体の、大きな図書館に俺は用があった。
調べたいことがあるのだが、大きな図書館に行かないと俺の求めている資料はない、と高等部校舎図書室の司書の人に言われてしまった。
それで、案内図を見たのだけど、大きな図書館は、第二寮より少し中等部の方へ行ったところにある。遠いし、第一寮を過ぎる。
別に、明日でも明後日でもいいんだけど、今日用事があるわけでないし、どうせなら行ってしまおう。そういう軽い気持ち。
こういう軽い気持ちが、衛やミケ先輩や会長に怒られる素であると、俺は気付くべきだった。
第二寮を越えた辺りから、俺には未知の世界のように感じた。
入学前に入寮した時に、第一寮の周りを見たけど、どうせこれから通うからと思って、ここまでは来なかった。
というか、ここまで来てたら、第二寮とか第三寮の存在に気付いていたし。
「〜〜っ!〜〜!」
誰かの声が聞こえて、俺は足を止めた。
声のする方は、図書館とは逆の方だったけど、何だか気になって、そちらの方へ寄ってみることにした。
それは、どちらかといえば、第二寮から第三寮へ向かう方向だったから、本当は行きたくなかったけど、好奇心には勝てない。
それに、コッソリ行って見て、何もせずにその場から立ち去れば、問題ないだろう。
そう思って、近付くと、叫ぶような声が聞こえた。
「やめ、やめてください!」
そこには、小さい1年生らしき生徒と……その他8人のガラの悪い、E組らしき生徒。
これは、その……やばい現場なのでは?
「お前が、こんな俺らの巣に、犯して下さ〜いと言わんばかりに、来るのが悪いんだよっ!」
理不尽……。
嫌がる小さい生徒を押さえつけて、寄ってたかって、その子のブレザーを脱がせて、ワイシャツも脱がせようとしていた。
「あっ……本当にっ!や、やめて!」
本気で嫌がるその子をニヤニヤニヤニヤと……虫酸が走る。
体格差があるので、その子の必死な抵抗も、無意味に近い。というか、その子を大人しくさせようと、3人ほどで押さえ込んでる。
タチ悪い……。
ついに、その子の抵抗も虚しく、ワイシャツも脱がされてしまい、上半身が裸の状態になった。そして、当事者のその子は、抵抗をやめた。
「おっ。こいつ、力抜いたぜ。やっぱ、なんやかんや、ヤル気あったんじゃね?」
「マジかー。俺、たまってんだよねー。ちょうどいいやー。」
「おい、お前ら俺らにも回せよ。」
「わかってるわかってる。」
俺は、吐き気がするような会話をよそに、抵抗をやめた生徒の方に目をやった。
なんで、抵抗をやめたんだ?
まず、なんでこんなところに来たんだろう。
俺でも流石に好んでここに来ようとは思わない。
もしかして、こういうことを予想してここに来たとか?
すると、目を閉じていたその生徒が、パッと目を開けた。そして、目が合った。
俺は、ドキッとした。
不可抗力にも盗み見てしまったことに、罪悪感を覚える。
ここを立ち去った方がいいだろうか……
そう思って立ち去ろうと決心した時、その生徒の口が動いた。
「……たすけて。」
『たすけて!志真!……たすけて。』
その瞬間、俺の中で何かが切れた。
そして、思い出したくないことを思い出した。
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