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生徒会室爆破事件 推理
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衛と山河が向かい合って勉強している。
俺、唐澤志真は、それを確認してその場を後にした。
図書室は、テスト前ということもあり、友達と一緒になって勉強する人が多いからか、2人は俺が覗いていることに気付かなかった。
まあ、それはそれで、好都合だった。
俺は、今、授業以外での勉強を、何処ぞの誰だかは知らないが、とんでもなく迷惑な脅しで禁じられている。
生徒会室をかけられたら、俺は手出しなんか出来ない。よく考えたものだ。
寮に帰るのもいいのだが、部屋に帰ったところで、勉強以外することが見当たらないので、1人で東棟とグラウンドの間にあるベンチに座った。
グラウンドでは、普段なら色々なスポーツの部活が活動をしているはずだが、テスト一週間前を切った今日に関しては、どこも活動してなく、静かなものだった。
あの変な犯行予告が届いてから、一週間経ったが、犯人からのアクションはない。
犯人は、一体どうやって俺が勉強したかしてないか知るつもりだろうか。
というか、爆破なんて本当に出来るのか?
実際に爆破なんて出来ない……と思うのだけど。
衛も生徒会のみなさんも、わりとわかりにくいけど、忘れちゃいけないみんなお金持ちだ。
つまり、犯人だって金持ちだ。
ちょっとした爆弾くらいなら、いくらでも作れるんじゃないだろうか。俺には、よくわからないけど。
そしたら、問題になるのは、犯人が俺を指名して、俺が苦しむような予告を出した動機だ……
というか、先生とかに相談した方が良かったんじゃないだろうか……
会長が、先生に相談、という選択肢を出さなかったのは、事を大袈裟にしたくないからだろう。
でも、やっぱり、何があるかわからない以上、大人に相談して対応を仰いだ方がいい気がするんだけど。
すると突然、目の前が真っ暗になった。
「うわっ」
誰かが俺の目を後ろから手で隠したのだ。
「だーれだ。」
こんなことしたがるのは、俺の知ってる中で1人しかいない。
「……ミケ先輩。」
「せーかい!」
またグラウンドの風景が広がる。
そして、隣にはニヤニヤと笑ったミケ先輩がいた。相変わらずショタ顏だが、このミケ先輩が1番怖いのを、俺は知っている。
「ミケ先輩。なんで、こんなところにいるんですか。」
「えー。勉強の息抜き?ってやつだよー。おれ、成績落ちると大変だから大変だよー。」
ミケ先輩は、受験生だ。
推薦で大学に行くと言っているが、現実はきっと成績成績、と大変なのだろう。
だけど、ミケ先輩は心配いらないんじゃないだろうか。学年2位。
どれくらいそれをキープしてるかわからないけど、頭いいことは確かだ。
そんなミケ先輩が、俺がいるベンチに“たまたま”来たというのは、少し疑問があるが、ミケ先輩のことだ。きっと、何らかの形で俺の居場所がわかったのだろう。
ニヤニヤというか、ニコニコというか。
とにかく、俺のことを見て笑っていた先輩だけど、その顔を崩さないまま俺に聞いてきた。
「シマたん。犯人に心当たり、本当にないの?」
「……ありませんけど。」
「ふーん。シマたんなら、心当たりというか、推理してると思ったんだけどなー。」
黒い目が俺を見ている。
実は、ミケ先輩が言ってることは、7割合っている。
俺は、確かに犯人がこういう人ではないか、という予想はついている。
でも、それはまだ確実なものでないし、何より目星はついてるものの名前も顔もわからない。だから、本当に、状況だけで判断した。
「……確実ではないですけど。」
「やっぱりね。で?誰なの。」
「その前に、やっぱり誰か先生に判断を仰いだ方がいいと思うんですけど。」
俺の意見を言う前に、やはり大人に対応を仰ぐべきだと思う。
「うーん。宮ちゃんが先生に話さないのは、大事になるのを避けるためでもあるけど、それよりもっと大きな理由があるんだよ。」
俺は、理由がわからず首を傾げた。
「宮ちゃんは、シマたん絡みの事件がこれ以上起きたってことを、先生たちに知らせたくないんだよ。この間の事件は、先生たちの間にも知れ渡ってるからね。」
「つまり、生徒会役員がこれ以上事件に関わるのを避けたいと?」
ミケ先輩がため息をついた。
「もー。シマたんってそういうとこあるよね。宮ちゃんが先生に言わないのは、シマたんのためでしょ。生徒会役員とかそういうことじゃなくて。シマたん個人の為だよ。」
俺個人の為。
俺は、正直に言うと、宝探し事件以降、事件の概要を知っている先生からは、腫れ物のように扱われてきた。
確実に、俺を見る目は、ただの優等生ではなく、問題がある優等生に、変わっていた。
それを、会長は知っているのだろう。
だから、言わないのか。
「だから、宮ちゃんが考えて、先生には言わなかったんだから、シマたんもとりあえずは、言わないでおくのがいいんじゃないかな?」
俺は、ミケ先輩の問いかけにただ頷くしか出来なかった。
ミケ先輩は、ニコニコとしながら、俺が自分が思っている犯人を、言い出すのを待っていた。
ミケ先輩にこうやって見られると、どうも調子狂うよな……
「実は______」
ついに、俺はミケ先輩に自分の意見を言ったんだけど、それを聞いてる間、ミケ先輩はずっと笑っていた。
そして、俺の話を聞き終えたら、携帯電話を取り出して何処かへ電話し始めた。
電話の内容はよくわからなかったけど、ミケ先輩はそのまま寮に帰ると言って、電話をしたままその場を去った。
俺は、再びグラウンドを眺めることにした。
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