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その21
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ストバスで突如現れた褐色の肌をした男を火神は睨む。
「誰だテメェ。名乗りもしねぇで相手しろとか気に入らねぇな。」
「お前の気分とか聞いてねぇよ。やれっつったらやるんだよ。…まぁ名前ぐらいは言ってやるよ。青峰大輝だ。」
青峰。
決勝リーグで当たるキセキの世代の一人と緑間が言っていた。
「名前は聞いてるぜ。けどそんな上から物言われて素直にハイなんて言うわけ、」
「ハハハ!おいおい!だから聞いてねぇんだよ。グダグダ言ってねぇでやれ。誰も勝負になるなんて思ってねぇよ。言ったろ?試してやるって。」
そこまで言ってから青峰は取り巻く雰囲気を更にどす黒くさせた。
「俺より強い奴とか、存在しねぇもん探してるわけじゃねぇんだよ。俺の退屈をお前がどれだけ楽しませられるかってだけの話だ。」
普通なら震え上がるような彼のどす黒い発言。
しかし言った相手は火神だ。
キレない筈がない。
火神はフーと深く息を吐いた。
「…黄瀬といい緑間といい『キセキの世代』ってのはカンに障る奴ばっかだけど、テメェはそん中でも格別だな!ぶっ倒してやるよ!」
一方ジムではプールサイドで黒子と桃井が話をしていた。
「決勝リーグ進出、おめでとう!」
「桃井さんの所もですよね。」
「あれ?言ったっけ?」
「さっき、決勝リーグまで待てなくてって言ってたじゃないですか。」
「あ、はは。そうだっけ?」
「はい。」
そこまで話してから桃井は表情を暗くさせた。
「だから次会うときは、違うベンチだね…。」
「はい。」
「後ミドリンとの試合見たよ。凄くいい試合だったし、火神君…だっけ?…彼、昔のアイツそっくりだね。」
桃井の笑顔ではいるが悲しそうに言うのを横目に黒子も目を細めた。
「………はい。」
同時刻、とある体育館ではバッシュのスキール音と声が響いていた。
と、誰かが体育館に入ってきた。
「ウィース。」
「ウィース!」
「すまんのぉ。進路相談長引いてしもた。直ぐストレッチして入るわー。」
今体育館に入ってきた、関西弁を喋るこの男の名は今吉翔一。
糸目に各眼鏡をかけているのが特徴的な男。
ここ、桐皇学園男子バスケ部の主将を務める男だ。
「あら?青峰は?」
「勝手にどっかいきました。てかまたサボりっすよ!」
今吉の問いに答えたのは若松孝輔。
2年生にしてレギュラーを勝ち取った男。
後々わかるが口癖は「どっせーい!!」だ。
そして、うるさい。
「全く、しゃーないやっちゃなぁ。のう、桜井。」
「えっあっはい!すいません!」
今話を振られて謎に謝った者は、桜井良。
桜井については1年生にしてレギュラーの座を手にしている。
口癖というか謝りグセがハンパない。
というよりネガティブ思考なのかもしれない。
「は?」
「いやあの、自分クラス一緒だから止めたんですけどダメでその…ホントすいません、生きてて。」
「いやえーよ。別にそういう…生きてて!?」
「すいません!すいません!自分とかもう羽虫っす!すいません!」
「羽虫!?いやもうええから!むしろ軽くウザイで!」
「あぁ!すいません!ウザくてすいません!すいません!」
「めんどくさ!」
確かに面倒だ。
もう反応するのが悪いのではないだろうか。
「後桃井もいないっすけど…」
今吉は桜井の対応をやめて若松の言葉に「あぁ、それもええねん。」とストレッチを再開しながら返した。
「むしろソレがアイツの仕事やん。」
所変わってジム。
「……青峰君、今バスケつまらなそうにするの。練習は出ないし、試合では勝っちゃうし。……周りにはそんな風には見せてないけど、時々物思いにふけてる…。誰かが勝ってくれたら変わってくれそうな気がするのに誰も勝てないの…あ、ごめんね!テツ君、みんなの成長した話とか聞きたいはずなのに、嫌なことばっかり話しちゃって!」
桃井も色んなことを溜め込んできたのだろう。
寂しそうに言う彼女を見て黒子は口を開いた。
「………変わりますか?」
「え?」
「青峰君を止めたら変わりますか?」
「テツ君…!」
「正直、次の大会に僕は出られるかわかりません。それでも誠凛の皆さんがいます。頼ることは好きではありませんし、試合には出たいです。だから、」
「ま、待って、テツ君!まさかまだ…」
黒子の発言に桃井は戸惑いを隠せないでいた。
「桃井さんにはあの時から苦しい思いをさせてばかりですね…。」
儚げに微笑みながら黒子が言う。
「だから高校入ってからは『影としてだけ』やってきたの?」
「……………必ず出るとは言えません。それでも第4Qだけは出られるようにします。だからそんな泣きそうな顔をしないで下さい。」
その会話を聞いていた者がいた。
打って変わってストバス。
息切れをする火神に対して青峰は平然としていた。
「話になんねぇな。お前本当に緑間に勝ったのか?だとしたら拍子抜けだぜ。テツの目も曇ったもんだ。」
言いたいことを言っている青峰に火神は何も言えなかった。
「アイツは影にもなれる。今は影しかしてねぇみてぇだけど。影は光が強いほど濃くなる。つまり、輝き次第でアイツは強くも弱くもなる。お前じゃ今のテツの力を全て引き出せねぇよ。」
「…………っ!」
「お前の光は、淡すぎる。」
青峰はそう言って火神が追いつけない早さのドライブをして火神を抜いた。
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