アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
その28
-
インターバル。
桐皇学園の控え室。
「良、例のもん持ってきてんだろうな?」
「はいっ。」
長身で元の顔も悪人な青峰に上から見下ろされた桜井は泣きそうだ。
そして生贄ですと言わんばかりに差し出したのはなんと、レモンのはちみつ漬け。
「あー、うめー。」
「あっ!?青峰てめぇ、何食ってん、つか補給するほど出てねぇだろコラァ!!桜井もホイホイ作ってんじゃねぇよ!マネージャーか!くれ!俺の方がよっぽど疲れてるわ!」
青峰に突っかかるのは勿論というのか、若松。
そして桜井から奪うようにとったレモンのはちみつ漬けを一人で食べてしまった。
「あー!うめー!!もうねぇぞ、バーカ!!」
「もういんねぇし。」
「んだとコラァ!!」
「てか全部食うなや!」
「大丈夫ですよー。私も作ってきましたから。」
「あぁ、すまんの。」
若松のせいでなくなったレモンのはちみつ漬け。
主将であるというのに食べれずショックを受けていると後ろから桃井がタッパーを渡してきた。
蓋を開けるとそこにははちみつに切っていないレモンがごろりと使っていた。
なんというか、今吉ご愁傷様。
一方、誠凛控え室。
誠凛控え室。
「前半お疲れ様!後半の逆転に向けてエネルギー補給よ!はい、レモンのはちみつ漬け!」
リコがみんなに向けてタッパーを差し出した。
日向を中心としてタッパーをのぞき込む。
そして蓋を開けるとそこにははちみつに切っていないレモンが…。
デジャヴだろうか。
「切ってって!切ってって言ってんじゃん、いつも!!」
「洗ったから皮ごといけると…。あといっぱい食べれるし…。」
「水戸部ある!?」
伊月が問うと水戸部は頷いてカバンからタッパーを取り出した。
タッパーの中は綺麗に切られているレモンのはちみつ漬けが。
「あー、水戸部いてよかったー!」
ちなみにみんなが食べている間、リコは隅っこで落ち込んでいた。
いや、ふてくされていたのかもしれない。
「黒子は?いんねぇの?」
みんなに背を向けて座っている黒子に火神が聞く。
しかし何時までたっても返事がなく、正面に回ってのぞき込んだ。
「?…黒子!?おい、黒子!」
火神が叫ぶように黒子を呼び続けるのを聞いて、皆も視線を彼に向けた。
「黒子!黒子!」
「だ…いじょう、ぶです。少し、…痛むだけ、ですから。」
黒子は心臓のあたりを鷲掴むようにして手を置いていて顔色も悪くとても大丈夫には見えない。
暫くすると収まってきたのか深呼吸を数回繰り返した。
「…………カントク。後半も続けて僕を出してください。」
「えっ?何言ってるの!黒子君の体に何が起こったのかはわからないけれど、今の状態で出せるわけ無いでしょうが!」
「確かに黒子抜きはキツいけど、一試合フルでミスディレは使えないんだろ?そうなるとますますお前に頼ることになるし…。」
「俺は反対だな。カントクの言う通り、今の状態でできると思えない。一度下がるべきだ。」
黒子の発言にリコ、日向、伊月が反対を申し出た。
他の者も厳しい顔つきをしている。
「お願いします。もう………時間がないんですっ。」
リコの制服の裾を掴んで黒子はそう言って目で訴えた。
リコは目を見開きつつ困惑した表情で黒子を見つめ返した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 32