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《22》
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「な、那由汰の目の前で何やってんだテメェー!」
「…………お前はもう俺のもんなんだから別に良いだろ。
俺の断り無しに勝手に服着てんじゃねーよ」
いきり立って悠真を睨みつけてやると、少しの間こっちを見つめた後彼は、しれっととんでもない事を言ってきた。
「な、なんで俺がお前のものになってんだよ?」
「だってお前、俺が告白した時泣きながら俺のこと抱きしめてくれただろ?
あれはOKってことだと思ったんだけど。
キスだって気持ち良さそうにしてたじゃねーか」
「な、なな、何言って…」
抱きしめたっけ?
こいつ適当なこといいやがって。
つーか、完全にヤべーよこれ!
俺は顔を青くさせて恐る恐る那由汰の方を見ると、
彼は最初にこの教室に入って来た時と同じにこやかな顔のままだった。
ここは普通怒るところである。
だが那由汰は、恋人が浮気をしているかもしれないのに、それを咎める事なくただこちらを見つめて笑っているだけだった。
その笑顔が俺の不安をより一層掻き立て、悲しくさせた。
「……那由汰。
お、俺は、お前を裏切ったりしてない。
悠真が…適当なこと言ってるだけだ。
俺にとっての一番はお前で、だから何が言いたいかって言うと それは、俺は…
お前が好きだ
って事が言いたいんだ」
真っ直ぐに自分の気持ちを那由汰に告げる。
好きなのは悠真じゃない、那由汰だ。
もう決して流されたりしない。
那由汰が自分にとっての一番大好きな人で、手放したくない大切な恋人なんだ。
信じて欲しい。
那由汰は表情を崩さず、そっと俺の頭を撫でた。
「ハイハイ。分かったよ」
那由汰の手があったかくて、嬉しくて、
自然と笑顔になれた。
もう悠真に惑わされたりしない。
素早く制服を整えて立ち上がった。
その際悠真は何も言わず、ただ俺を見つめているだけだった。
「ごめんな、那由汰 教室行こ。」
そう言って那由汰の背中を押しながら、被服室を後にしようとする。
だがそこで、
何も言わなかった悠真が立ち去ろうとする俺の手を素早く取った――。
「お前が誰を好きだろうが、俺には関係ない。
俺はお前が好きだ。
その事だけは忘れんな。」
勝ち誇ったように上がった口角、だけど真剣な眼差しだった。
こちらを真っ直ぐに見つめてくる彼が何故か格好良く眩しく見え、自分がそんな感情を抱いてしまったことを情けなく思った。
無言で手を払い除け那由汰と共にその場を去った。
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