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112.✩流れ
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✩✩✩✩
楓さんの腕の中で目覚めた。まだ頭が冴えてないのと、ものすごく心地よくてふわふわしていると、楓さんがぎゅっと抱きしめてきた。
何かを確認するかのような抱きしめ方に瞼を開けて、小さく名前を呼ぶと楓さんの顔がほころんだ。
……本当に、好きだなぁ。
幸せすぎて溶けそう。
「おはよう旭」
「楓さん、おはよう………」
眠気が残っているせいで出た欠伸を噛み殺して楓さんに擦り寄ると、抱きしめる力が強くなった。
ぴったりくっついた肌から楓さんの体温が伝わってくる。
白い肌にはついこの前俺がつけたささやかなキスマークとたくさんの噛み跡がはっきりと残っている。
…………あ。
ふと、楓さんの先輩のことを思い出した。
さんざん何もないと言い張ったのに話し合いをしようかと言われ、結局俺が折れて楓さんに抱かれたのは数時間前のことだ。
あのまま隠すつもりだったのに。
時間が経てば、自然と自分の中で折り合いがつけられると思ったから言わないでいたのに。
でも、話すから、と言って愛撫の続きをほしがったのは俺だ。それに約束したことは守りたいし………。
こんな朝っぱらから話すようなことじゃないんだけど、言おうって決めたときに言わないと俺はまた隠そうとするかもしれない。
「…………楓さん、あのさ………」
くっついたままだと顔が見えないから楓さんの胸を押し返して少し距離を取る。楓さんは怪訝そうな顔をしていたけど、俺はゆっくりと口を開いた。
「話すって約束したから……。あのね、楓さんに聞きたいことがあるんだけど………」
「うん」
「………楓さんって、せ、セフレとかって、いたことある?」
思い切ってそう聞いてみると、楓さんは目をぱちくりとさせて固まっていた。
楓さんがこの反応をするのは当たり前だろう。
だって恋人から『セフレいた?』なんて聞かれたんだから。
「え、セフレ?………うーん、いたことないかなぁ。俺、高三の頃から旭と付き合ってるし。高校生のうちからそんな関係は持てないかな」
「………今も?」
「今もいないよ。俺には和泉旭っていう可愛い恋人がいるからね。あいにく、可愛い恋人もいてセフレも、なんて器用な恋愛は俺にはできないからね」
………恋人。
楓さんが俺のことをそう言ってくれるのが嬉しかった。けど、その言葉に一抹の不安も覚えた。
俺は楓さんのことが好きで、楓さんも俺のことが好きで………。『付き合ってください』ってはっきり言葉にはしてないけど。
…………あれ、俺たちは本当に付き合ってるんだよね?
もしかして前の俺と付き合ってたからその流れで、みたいな感じじゃないよね?
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