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133.✩俺の気持ち
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✩✩✩✩
楓さんに目を逸らすことを禁止されて恐る恐る視線を交える。目を瞑ってしまったらまた涙が零れてしまいそうで嫌だった。
『全部知りたい』って言ってもらえたからか、楓さんの目を見ること自体は怖くはなくなっていた。
でも俺の心はまだ恐怖に囚われていて、早く話さなきゃって思うのにどう話したらいいのか迷っていた。
「ぐちゃぐちゃで、ゆっくりでいいから、旭の気持ちを教えてほしい」
「…………う、ん……」
楓さんが俺のことを知ろうとしてくれるのはすごく嬉しい。俺も楓さんのことは全部知りたいし、嬉しいことも悲しいことも共有したいと思ってるから。
柚里に言った通り器の小さいやつだって思われるかもしれない。子供っぽくてめんどくさいって思われるかもしれない。
だけど………
「俺……些細なことで、すぐぐるぐる考えちゃうから………めんどうなやつだって、楓さんに嫌われたら、どうしようって思って……」
「うん」
「こ、子供っぽいし、独占欲強いし、ヤキモチ妬きだし………楓さんのこと、信じてないわけじゃないけど、その……静輝さんのこと気になっちゃう、し……」
「うん」
楓さんの肩口に顔をうずめて、震える声でどうにか自分の気持ちを伝える。
俺の髪に指を通しながら楓さんは最後まで聞いてくれた。
「楓さんに捨てられたら、俺……生きていけない……」
「……俺もね、旭に捨てられたら生きていけないかな」
「そ、そんなことしないよっ!」
「俺も旭を捨てるなんてことしないけど。けどそんなことを考えちゃうなんて、俺そんなに薄情そうに見える?」
にっこりと微笑む楓さんの笑顔が、黒い。
え、なに、なんで怒ってるの……?……あ、や、やっぱり言わない方が、よかったの、かな…………。
「か、楓さん……怒ってる………?」
「さぁ、どうだろうね。でも、素直にそう聞いてくる旭が可愛いとは思ってるよ」
「やっ、なに、それって、どういう……ンっ……はっ………」
楓さんは俺の肩を押し返して自分から離すと、噛み付くようなキスをしてきて、反射的に瞑った瞼から溢れた涙をぺろりと舌で舐めた。
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