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136.✩いい匂い
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✩✩✩✩
写真事件から三日経った。
いつも通りに学校へ行っていつも通りに過ごす日々。あと二日経てば楓さんのお姉さんに会える予定だ。
相変わらず毎晩楓さんに抱かれているけど、加減してくれているのか腰の痛みはそんなにひどくなかった。
そろそろ雪が降ってもおかしくないな、なんて思いながらマンションへの帰宅道を歩く。とっくのとうに日は短くなっていて、十七時ちょっと過ぎだけど辺りはもう暗い。
エントランスに入るとすぐ脇に大きなクリスマスツリーがある。そういえば楓さんって行事とかイベントとかするタイプじゃないよな………。クリスマスもスルーする感じかも。
コンシェルジュのお兄さんに挨拶をしてちょうど留まっていたエレベーターに乗り込む。楓さんはもう帰って来てるかな?
目的の階に着いた音と共にエレベーターの扉が開く。自分の部屋の前まで来て鞄からカギを探していると、ガチャッとひとりでにドアが開いた。
驚いて顔を上げると、人のよさそうな笑顔を浮かべるとても綺麗な女の人がいた。それにも驚いて部屋の番号を確認するけど、別に俺が違う部屋の前にいるわけじゃなかった。
………この人はいったい………?
「ふふっ、おかえりなさい♡」
「………………ただいま?」
ものすごい笑顔でハートを飛ばしながら『おかえりなさい』と言われても、どう対応したらいいのか分からない。混乱してうっかり『ただいま』なんて言っちゃったけど、ほんとにこの人、誰…。
「や〜ん『誰この人』みたいな目で見ないでよ~!愛しのダーリン♡♡」
「えっ?は、はぁ……?」
やけにテンションの高い彼女は、甘ったるい声を出して俺の腕に自分の腕を絡めてきた。わぁ………香水かな…?すごいいい匂いがする。
楓さんも香水をつけているけど、この人がつけている香水はいかにも『女性』って感じの匂いだ。
俺的には楓さんの香水の方が好きだけど。
「夕飯はアサくんの好きなものいっぱい作ったからね!」
「あの、あなたは……」
どちら様でしょうか?と続けようとした俺の話なんてこれっぽっちも聞く耳を持たずに、彼女は家の中へと俺を引っ張った。
「や、やめ………」
「ほらほら、早く!ご飯冷めちゃう!」
こんな細い体のどこにこんな強い力があるのか…。
そのまま俺は腕を掴まれズルズルと廊下を引きずられて行った。
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