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150.✩妬いてる?
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✩✩✩✩
桜さんが出て行って楓さんと二人きりになった寝室はシーンと静まり返っていた。楓さんは長い脚を組んでベッドに座っていて、床にいる俺を見下ろしている。
にっこりと笑った楓さんからひしひしと『どうしてくれようかオーラ』が出てて、冷や汗がだらだらと俺の背中を伝っていった。
顔が整っているせいで妙な威圧感が出てる。
お、俺は、何も悪いことしてない…はず……。
「………っ、あの………楓さん………」
「……………」
名前を呼ぶと、楓さんはふいっとそっぽを向いてしまった。む、無視された…………。楓さんに無視されることなんて初めてだったから、ちょっと動揺が隠せない。
「か、楓さーん…………」
「……………旭」
「…っ、はいっ!」
恐る恐る顔色を窺った俺に、楓さんは優しく微笑みかけた。あれ……怒ってないのかな………?
そう思ったけど、威圧感とオーラはそのままだから思わず敬語になってしまう。
「今日ね、桜姉がお前のことを借りたいって。…どうする?」
「どうする…とは……?」
「夕方まで桜姉とデートか、いつも通り家で過ごすか。どっちがいい?」
「……楓さんは、仕事…なんだよね?」
「うん、仕事だね」
楓さんが仕事なら家にいたって構ってもらえない。それなら桜さんとで、デート……に行った方が仕事の邪魔にならないんじゃないかな……。
でも、なんで楓さんがそんなことを言うんだろう。きっと桜さんなら自分からデートに誘ってくる。
突然振られた話の意図が分からなかった。口調は穏やかだし、やっぱ怒ってないのかな?……昨日の楓さんを見るに、少しくらいはやきもち妬くと思ったんだけど………。妬いてなかったら妬いてなかったで、ちょっと寂しい。
もし、デート行くって答えたら、妬いてくれるかな………?
………なんてことを考えちゃう俺は、いつからこんなに性格悪くなったんだろ……。
楓さんが妬いてくれることが、気分が良いっていうか……快感になりつつあるのかもしれない。
これはたぶん、前の俺の感覚だ。
「……で、デート行く?行かない?」
「…いく………」
「そう。じゃあ、支度しないとね」
楓さんはそう言うとベッドから下りて俺の腕を掴んだ。引っ張られて立ち上がった俺を連れて、リビングへと繋がるドアに向かう。
俺が思っていたより楓さんの反応があっさりしていたから不安になって足を止める。「どうしたの」と振り向いた楓さんを脇にあるベッドに引き倒した。
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