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152.✩デート(仮)
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✩✩✩✩
ばっちりお洒落をして変装のため?にサングラスを身につけた桜さんに連れられてやって来たのは、マンションから二駅隣にある大型ショッピングモールだった。
何度か楓さんと買い物に来たことはあったけど、だいたいいつも同じお店を回るくらいで、こうしていろんなお店に立ち寄ってみるっていうのはあまりなかった。
桜さんはショッピングモールに着くやいなやブランド店が立ち並ぶフロアへと足を運んだ。
「このブランドはユニセックスな物が多いから、アサくんに似合うのが見つかると思うの!」
自身がイメージモデルを勤めているというブランド店で、桜さんがハイテンションで選んでいるのは俺の服。自分の服を選べばいいのに、買っているのは俺や楓さんの服ばかりだ。今日のもそうだけど普段何気なく着ている衣類も、きっと桜さんが選んだものだろう。
なんでも、日本に帰国するたびに俺を買い物へ連れ出しては、着せ替え人形にして楽しんでるらしい。桜さんが言うに、俺は楓さんより中性的だから選べる服の幅がちょこっとだけ増えるのだそうだ。
「アサくん、これなんかも似合うわね~!あ、こっちもどうかしら!」
「は、はぁ………。そうですか……」
いちいち感想を言うのも面倒臭くなってきて、もう自由に決めてくれ、と桜さんがしたいようにさせている状態だ。
商品を物色している桜さんを横目に、落ち着いた雰囲気の店内をぐるりと見渡すと店員と目が合った。そういえばさっきからチラチラこっちを見ていたような…。桜さんがはしゃいでるから、他のお客さんに迷惑だって不快に思われたのかな。
謝罪の意味を込めて会釈をすると、店員はぽっと顔を赤らめた。……どうしたんだろう。
「アサくん」と呼ばれて、店員から桜さんに意識を移す。桜さんの腕には何着か服がかけられていて、一着ずつ俺に合わせては似合うかどうか見ていた。
しばらくその作業が続いて服を選び終えた桜さんはお会計のために店の奥へ行った。取り残された俺は店の外にあるベンチに座って桜さんを待つことにした。
「……疲れた………」
早くもげんなりして呟いた言葉は周りの喧騒にかき消されていった。彼女の買い物に付き合わされる彼氏の気分というのものがよく分かった。
それに、今朝楓さんが『頑張っておいで』って言ってた意味も。
あの人、俺が桜さんに振り回されるってことを分かってて送り出したんだ。
………でもまあ、送り出された身だし、無理矢理にでもこの状況を楽しまないといろいろと損な気がする。
せっかく桜さんが帰国してるんだから、もう少し頑張ろう、と気合いを入れ直した。
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