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26-2
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「獅琉!」
勢いよく部屋に入ってきたのは東雲組の専属医師、山瀬紘だ。
「...お前か」
「...っ、お前どういうことだよ!」
「何が」
「麗くんがいなくなったって!」
「...どうもこうもねーよ」
「っざけんじゃねぇ!!お前何の為に麗くんと暮らしてんだよ!!」
山瀬が獅琉の胸ぐらを掴んで声を荒らげている。
その光景に柚木は驚いていた。
いつも穏やかににこにこと笑っている山瀬からは想像もつかない姿だ。
大体、口調もいつもと違うし...
「俺が、不在中に麗が...誘拐された」
「...じゃあ何でお前こんなとこに座ってんだよ!!探しに行けよ!!」
「...んなの...っ俺だけじゃ、どうしようもねーんだよ!!」
「は?お前嘗めてんの?麗くんは今だってお前が来るの待ってんだろ!!もし麗くんに何かあったら...」
「んなことは分かってんだよ!!俺だって今すぐ迎えに行ってやりてーよ...っ」
「じゃあなんで行かねーんだよ!!」
今にも殴り合いになりそうな2人の間に入って2人を宥める柚木。
「やめてください...っ、今の二人を見たら麗さん、悲しみますよ...!」
「...っ、ゆずくん...」
今初めて柚木の存在に気づいた山瀬は驚いたように柚木を見つめている。
「チッ」
一方気分を害したらしい獅琉は荒々しく部屋を出て行ってしまった。
「何も...手掛かりがないんです。下手に動くより、今は黒葛さんの情報を待つしか...」
残された山瀬にそう言うと彼は苦しそうに唇を噛んで答えた。
「...そう...」
「......あの、山瀬さん...どこで麗さんのこと...?」
「ああ...黒葛がね、麗くんの行方を聞いてきたよ。アイツは専属医師の僕さえ疑っているみたいだね。でも、そっか...黒葛に頼んであるなら、きっと見つかる...」
山瀬はにこりと柚木に微笑んだがその笑顔にいつもの様な明るさは感じることが出来ない。
「...若のこと、責めないであげて下さい。責任は麗さんが連れて行かれた時、そばにいることが出来なかった俺にあるし...。きっと、若が一番辛いんです」
「...わかってるよ。ごめんね、大きい声出して。ゆずくんも悪くない。...麗くんが見つかったらすぐに連絡して。いつでも治療できるように準備しておくから」
「...はい」
そんな最悪な事態にはならないで欲しい、と柚木は切実に願っていた。
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