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「ぼくね...しーのこえ、ちゃんときこえたよ...?」
もぞもぞと獅琉の腕から顔を出して、獅琉を見上げると不思議そうに、聞いてきた。
「声?」
「うん」と頷いて麗は、ゆっくり獅琉に目が覚める前に出会ったうさぎについて説明した。
「お前、そのうさぎが居なかったら多分目覚ましてなかっただろ...やめてくれよほんとに...」
何度も話に躓く麗を急かしたりせず、最後まで聞いた獅琉は再び麗を抱き込む。
僕のお話...ちゃんと伝わったかな?
「うさぎさん...かわいかった...?」
「いや、俺に聞かれても知らないけど」
「んん...かわいい...」
「......ばぁか、お前の方がかわいいっつーの...」
頭の上でぼそっと何か言った獅琉に「なぁに?」と訊ねても「何でもない」と返ってきた。
「ん...だからね...しー、ぼくのこと...よんでくれた、から...しー...わるくない...ありがとう、なの」
「...そっか、相変わらず優しいのなお前」
その後も他愛のないことを話しながら久しぶりに2人きりの時間を過ごした飼い主とうさぎ。
暫くして何時の間にかうとうとし始めた麗を見て獅琉は「起きるまで隣にいるから、寝てろ」と言って、麗の瞼に口付けた。
「ん...」
それを受け入れながら、麗はあることを思い出した。
あ......まだ、しーに言ってない。
「しー、ただいま...」
少しだけ顔を上げてそう言うと、獅琉は少し驚いた後優しく微笑んで言ってくれた。
「おかえり、麗」
獅琉に『ただいま』なんて言うのは初めてだなぁ、と考えながら麗は大好きな人の腕の中で眠りについた。
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