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32-5
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「...麗さん?」
聞こえた声は知っている声。
「...っ」
「麗さん!......嘘だろ、いないのか?」
更にドアが再び開いてもう一人入ってきた気配を感じる。
「え?なに?麗さんいないの?」
「いや分かんないけど姿が...」
「笑えない冗談やめてよ」
「いやだって...」
「の、ぞ...いのり...」
「「麗さん!?」」
蚊の鳴くような細い声で呼んだのに二人にはちゃんと聞こえていた。
「こんなところでどうしたんですか...!」
「泣いてんじゃん!」
部屋の隅っこで蹲っていた麗を希が抱き上げ、服の裾で麗の涙を拭う。
「ひっく...うぅ...っ、のぞ...っ」
「何?どうしたの?」
「麗さん?どこか痛いですか?」
いつもだったら双子に触れられるのすらも嫌がる麗が希に縋って泣いている姿を見て、二人は戸惑う。
「ちが...っ、ふぇぇ...っ」
ふるふると首を振ると祈が麗の頭を撫でながら訊いてきた。
「麗さん、若頭に連絡しますか?」
「...ぅ、だ、め...っ」
しーとお留守番するって約束したもん...っ
「だめって...どうしよう、のぞ...」
「なんで祈がそんな泣きそうな顔してんの。麗さんがだめって言うならだめなんでしょ」
「どうして...」
「さぁ?」
「...っ、ひっく...っ...ふ...っ」
「麗さん、泣かないで?」
声を殺して啜り泣く麗に希が囁く。
「...や...っ、しぃ...っ」
「若頭が帰ってくるまで、僕たちと待ってよう?」
しーが、帰ってくるまで一緒に...?
麗がゆっくりと顔を上げるとコバルトブルーの瞳が心配そうに揺れていた。
きれい...のぞの目、こんなに綺麗だったの...?
僕、全然気付かなかった...
ぼんやりと希を見上げる麗ににっこりと笑った希。
「麗さんが泣いてたら若頭も悲しいよ?麗さんのお仕事は笑顔でお帰りって言ってあげることだよね?」
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