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「なんか...のぞばっかりずるい...」
「拗ねてんの?」
「別に拗ねてないけど...」
「拗ねてんじゃん」
「拗ねてないって!」
「祈が僕に隠し事できると思ってんの?」
「...うぅ、それは...」
暫くして泣きやんだ麗は肌触りの良いラグの上に座って何やら揉めている双子をぽかんと見つめていた。
二人が揉めている原因は正に麗にあるのだが、当の本人にその自覚は全くない。
「だって...」
「だって、何?」
「なんでのぞばっかり...」
揉めている二人を横目に、お気に入りのうさぎのぬいぐるみと遊ぼうとベッドルームへぬいぐるみを探しに行く麗。
「うーちゃん...うー、ちゃん...」
名前を呼びながらベッドルームに入ると、ベッドサイドのテーブルの上に置いてあったぬいぐるみを見つけ、抱き締めた。
「うーちゃん...ふわふわぁ...っ」
ぬいぐるみを抱きしめたまま、リビングへと戻ると何故か双子が横に並んで大きく腕を広げてこちらを向いていた。
「麗さん!僕と遊びましょう!」
「麗さん、僕と遊ぼう?」
「...ふ、ぇ...」
状況が掴めず首を傾げるが、二人が動く様子はない。
ど、どういうこと...?
「「麗さん」」
「...ぅ...?」
もう一度名前を呼ばれ、麗はゆっくりと歩き出し、ぽすりと希の腕の中に収まった。
「麗さん〜!」
「ふに、ぅぅ...」
ぬいぐるみごとぎゅうぎゅうと抱き締められ、呻き声を漏らす麗の後ろで祈が悲しそうな声を出しているのが聞こえる。
「どうして...昨日までは僕たち両方共避けてたじゃないですか...なんでのぞ...?僕だって同じ顔なのに...」
「さぁ〜?」
麗はさっき希に言われた言葉で以前のような自信を取り戻していた。
僕がちゃんとお留守番したら、しーお仕事頑張れる...
僕しーのうさぎさんだから、ね、しーのお迎えがお仕事...僕、頑張る。
たった一言で麗の心を晴らしてしまった希を麗はいたく気に入り、希にべったりなのに祈には未だ懐かない。
それで先程から双子は揉めているのだ。
「はぁ...僕は気長に待ってるしかないのかな...」
「そんなに落ち込まなくてもすぐに懐いてくれるって」
「うるさいなぁ!のぞには僕の気持ち分かんないよ!」
「わかってるよ。だって祈は僕の半身だから」
「...っ、...ばか」
「ふふ、祈は照れ屋さんだね」
「...ばか」
いのりとのぞは...仲良し、さん。
ぼんやりと二人のやり取りを聞いていた麗は少し寒気を感じ、小さく震えた。
「...あれ?麗さん震えてる?」
「ふ、ふぇ...、くしゅっ」
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